栃木の那須高原に、何度も通った大好きなカフェがある。
「NASU SHOZO CAFE」。
高速道路で3時間ほど。渋滞するともっとかかるので、はるばる那須高原まで行って、このカフェだけに行って帰ってくるということもあった。訪れるのは冬が多かったせいか、雪に反射した光がお店の中に溢れ、とても明るい雰囲気の場所だという記憶が残っている。
その「SHOZO CAFE」が、東京にもお店を開いた。場所は南青山、山の中にある那須高原のお店とは正反対の環境だ。
那須のお店の雰囲気は味わえないだろうと思って訪れたら、びっくり、そこはあの「SHOZO CAFE」そのものだった。ほったて小屋のような素朴な建物。小さな小さなスペースではあるけど、青山通りを少しだけ路地に入った場所とは思えない、ゆったりした時間が流れていた。
ドリンク受け取りのカウンターのところにあるテーブルに、こんな言葉が書かれているのを見つけた。
「自分の時間をみつけたら
どうぞ静かにお出かけ下さい。
―カフェ ショウゾウ」
「SHOZO CAFE」は旅人のための場所でもある。那須高原のお店に置いてあるシュガーの袋にはこんな言葉が書いてあったのだ。
「ナスハ タビスルカゼノ トオルマチ」
カフェが好きでこのコラムを書いてきた11年間、旅の記憶はたくさんの素敵なカフェとの出会いとともにある。むしろ素敵なカフェに出会うために旅をしていた。
今は子どもが小さくて、旅をしてカフェに行ってというのはなかなかできないけど、遠くへ旅に出なくても、近くのカフェだっていい、道端に咲く花をめでながら散歩して、近くの公園でコンビニで買ったコーヒーを飲んだっていい、心が旅に出るような時間を過ごしたい。
でも…「やっぱり旅に出たい」。
甘酸っぱいラズベリー・サイダーを飲みながら思った。
SHOZO COFFEE STORE
港区南青山3-13 246COMMON6
9:30~19:00(土日祝11:00~)
火休