純文学を読んでいそうないかにも純情そうなメガネ男子に
イタズラする事しか考えていない女性しか歩いていない、
さらにイタズラされても満更でもない男子しか歩いていない神保町。
そんな場所でまさかの”トキョめき”と出会った。
ボクは神保町から電車に乗り込み、高島平に向かっていた。
ふと、隣りを見ると小日向しえみたいな女の子がアイフォンをペコペコしていた。

m_kohinata

無意識に画面を覗くボク。
無意識というのは習慣になっているからであって、
単純な好奇心と下世話な覗き見主義が入り混じった鍛錬の結果である。
その女の子はこれから音楽を聞くみたいで画面には東京事変「新しい文明開化」の文字。
「あれはテンション上がるよね～」と共感しながら、その子にすんごい興味を持つ。
かといって、横から女の子の携帯を覗いて満足しているような
むっつり男子に何が出来るわけもなく、傍観。
ただただじっと傍観。
すると、しえちゃんは指でパッパッと動かしてメール画面を開いた。
auのスマートフォンを使っているボクからしたら、ありえないスマートさのアイフォン。
もちろん、まだ見ているボク。
見る事に関してはけっこう慣れているので、相手にはあまり気付かれないのだ。
メッセージは
「今から帰る」
「わかった。何か欲しいモノとかある？」
彼氏だろうか？
「アイスが欲しいかも……」
かも……？っていう文面に多少、違和感を感じながらも、
他人のメールを覗いているボクの方が社会的には違和感だよなと色々思いながら、
やっぱりまだ見る。
そして、メールの相手が……
「了解」
この次の瞬間、彼女のメールでまさかの”トキョめき”に落ちた。

「あっ、グミも！！！！！！！」

強調が……すごい！
しかも、しえちゃんにとってのグミって相当重要みたいだ。
確かに、無性に何かが食べたくある時はある。
「マクドナルド」「銀だこ」「らすた」などなどボクにとってはそれらが、
無性に食べたくなるモノのリストだ。
彼女にとってもグミがそうなのだろうか？
いや、でも、グミくらい食べたければ自分で買える。
わざわざ人に頼まなくても……。
という事は、もしかしたら彼女はグミをリクエストする事によって
「ワタシかわいいですよ！グミってあえてリクエストする子ですよ」的な
下心があったのかもしれない。
ただ、ボクはこの名前も知らないちょっとカワイイ子のメールを見ている立場だから
こう思うのであって、
もし、実際にこう言われている男子側だったら、
「グミ、リクエストされてる！？こういう所がカワイイねんな」と
完全にドキドキしてるに違いない。女の子ってやっぱりスゴイ！

でも、ボクはそれ以上、彼女を見る事ができなかった。
彼氏の存在がチラついた時点で恐怖心にビクビクしていたし、
とにかく取り急ぎとりあえずビクビクしていたから。


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