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今年はオランダの画家・フェルメールイヤーだと言う。

手始めに、今年3月に閉催したラブレター展 (Bunkamura)。
そして現在開催されているマウリッツハイス美術館展 (東京都美術館・9/17まで)、
ベルリン国立美術館展 (国立西洋美術館・9/17まで)。

それぞれ合わせて6点ものフェルメール作品がやってくる。
その中でも特に超目玉なのは、マウリッツハイス美術館展の「真珠の耳飾りの少女」。
別名「青いターバンの娘」のスペシャル来日だ。
北欧のモナリザ」と称され、来館者に熱い視線を連日投げかけているとか。
 
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このフェルメールが生涯に描いた枚数は37枚と少ない。

いや実は、何枚なのかはっきりとは分かっていない。
32枚、35枚、36枚説もある。真筆か、贋作か? 枚数が不詳なので、
30枚以上の…と言葉を濁して書くパンフレットさえある。

いまもって分からず謎のままだとか。
まぁ、とりあえずはすべてを含めて37枚に落ち着いている。
個人が所有するもの2点を含めて、
世界17の美術館がちりぢりバラバラと所蔵しているのだとか。

さて、その全37作品を、銀座で一堂に鑑賞できる場所がある。
その名も「フェルメール 光の王国展」。

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もちろんあの、真珠の耳飾りの少女も飾られている。
実は、リ・クリエイト(re-create)と言う画像技術を施した、再創作の複製画だ。

な~んだ、複製かと侮るなかれ。
フェルメールの制作年代順に並べて作風の変化を感じながら、
もちろん絵画は実寸大。そして所蔵美術館と同じ額装を施して、
フェルメールの軌跡を感じ取れる趣向になっている。
 
この同じ額装というのが重要なのだ。
徳島の大塚国際美術館にもフェルメールの陶板複製はあるが、額はオリジナルだ。
 
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そしてこの王国展の最大の目玉は、絵の具の成分変化を分析し、
制作当時の色彩を求めて再創作したことだ。

いま上野の2つの美術館展のフェルメールは経年変化色彩が退色しているが、
銀座のフェルメールは、変色部分の塗り替えなど、
350年前の生き生きとした姿が蘇っている。

もちろん複製なので、横から見たら絵具の盛り上がりなどはない。
というか、本物を展示している上野でも横からなんて絶対に見られないのだが、
フェルメールを別な角度で観賞するには滅多にないチャンスでもある。

そして絵の具と言えば、フェルメール・ブルー
真珠の首飾りの少女のターバンに代表される、あの神秘な群青を出すために、
当時、金よりも高価だったウルトラマリン(宝石のラピスラズリ)をふんだんに使っていたとか。
しかも大量に。かなりの借金を抱えていたとか、いや実は裕福だったとか、
その実態は今もって謎のままである。

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つまり、かなり裕福な環境にいたらしい、とすれば、
フェルメールは絵を売って生計を立てるために量産する必要がなかったかもしれない。
なんて推測も成り立つほど。だから枚数が少ないのだ。
 
ウルトラマリン(ラピスラズリ)と呼ばれる青い顔料の解説も詳細にされていて、
フェルメールファンでなくても楽しめる内容になっている。しかも空いているし。
マウリッツハイス美術館展では、立ち止まることもままならないほど混んでいるとか。
 
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まぁ、本物を見る前に、一度銀座の彼女に逢いに行くのも一興。
複製なので、写真撮影はフラッシュを使わなければお好きにどうぞ

この展覧会は、会期延長になっていて、夜間特別鑑賞会なら
アルコール片手の観賞もあったのだが、残念ながら現在はなし
加えて、館内で貸し出される音声ガイドは、宮沢りえ&小林薫さん
これは必聴です。


ということで、トーキョーワッショイフェルメール展をご覧あれ。 
しかし、金より高い宝石のラピスラズリを、どんだけ買ったんだろう?

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☆フェルメール・ブルー ヴァージナルの前に座る女

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☆フェルメール・ブルー 牛乳を注ぐ女

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☆フェルメール・ブルー ヴァージナルの前に立つ女

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パーティションまでもフェルメール・ブルー

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☆フェルメール・ブルー 女主人と召使

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☆フェルメール・ブルー 少女の頭部

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☆フェルメール・ブルー 赤い帽子の女

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真珠の首飾りの少女  ベルリン国立美術館展で公開中
    但しフェルメール・ブルーはここまででてないはず

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☆フェルメール・ブルー 手紙を読む青衣の女

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☆顔を入れて真珠の耳飾りの少女ごっこもできる

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☆展覧会と同じものを購入できる 138,000円 額装は別物


ちなみに仏のルーブルだけでなくオルセーなど多くの美術館では、
フラッシュ無しであれば、確か撮影が許可されているんですがねぇ…