ちょっと気になる店構えだな、中を覗いてみようかな。
...ぐらいのつもりでその店の入口に近づいた。
不意に店員さんにトートバッグを手渡された。
よろしければどうぞ、と。
店内を見渡してわかった。
セールなのだ。
トートバッグに何着もTシャツを入れ、さらに宝物がないかと探す人たち。
Mサイズのコーナーは手にとった物を買うしかないほどの賑わいだ。
私は人ごみを避けてmore sales コーナーを見ることにした。
展示品で日焼けしているとか、折りジワがあるとかいう理由で特売なのである。
ここはいい。人も少ない。クーラーも効いている。
元の値段が黒の印字、追加シールの赤字がセール価格。
黒字から比べたらすごく安くなっているが、普通に考えたら普通の値段だ。
Tシャツはメッセージである。
だから、セール品のTシャツなんて買うものか。
Tシャツはしっかり選びたい。
トートバッグをレジに返して、もともと行くつもりだった丘のある公園へと、
ひとり逃げ出したい気持ちになった。
だが、何かが心に引っかかった。
また夏が終わる、もうさよならだね、とは誰かの歌の歌詞だが、
何かこの夏のセールという祭りに自分も参加したくなったのだ。
引き返していた。
more sale コーナーへ、ではない。
Mサイズコーナーへ、だ。
店内でも最も混み合うゾーンへ。
人ごみにもまれてみる。
Tシャツを吟味してみる。
いつもの三倍の速度と注意力で色・柄・寸法を確認していく。
結局買ったのは、
- イナズマが入ったTシャツ
- L字の模様が入ったTシャツ
選んだポイントは「特別なメッセージ性がない」ことだ。
これまで、そんなTシャツの選び方をしたことがなかった。
それが自分にとって嬉しかった。
無心で走る時、無心で飲む時、無心で地を耕す時。
そんな時に着よう。長く、大切に着よう。
セールは7月16日で終了しています。
ハリウッドランチマーケット
http://www.hrm.co.jp/news/2012/06/2012-seilin-summer-sale.html
,‘