宝来湯を目指し古川沿いを歩いていると、両岸にはやけに古風な家並みが残されていることに気がついた。
向こう側には居並ぶ寺院の姿、どこぞの宿場町跡と言われても誰が違和感を感じよう。
どうやら、目の前の川に秘密があるらしい。
ここはかつて、江戸時代にお隣の行徳塩田から江戸へと塩の運搬のために引かれた船堀川。
おそらく、水運で栄えた往時の姿が残されているのだろう。
後に水路が変更となり水運の役目は終えたが、その後も「古川」として残り、
現在は豊富な湧水で子どもたちが水遊びを楽しむ公園として親しまれている。
 
古川沿いの町並みに溶け込むように建っている、宝来湯。
東京銭湯とは思えぬほどの小ぶりな造り、低い木製の番台や壁に掛かった注意書きなど、
まるで江戸時代の湯屋を思わせるその姿。
この情緒がたまらなく好きで、遠方にもかかわらず私は幾度も宝来湯を訪れたものだ。

創業は、明治期。戦火を逃れ東京で現存するうちでは指折りの古銭湯、
 建ったのは、俺のご先祖がまだお侍だった頃かなあー
番台に座る若旦那、豪快に笑い飛ばす。

 
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○ 宝来湯
住所 東京都江戸川区江戸川6丁目12−16