今だにダブルのスーツを着込んだパトロンに囲われているイタイ女性しか歩いていない西麻布。
そんな場所で、まさかの”トキョめきガール”と出会った。

20071217002

ボクは会議に行くために、ファミリーマートを横切った。

しかし、このまま行くと15分前に目的地に到着してしまう。
「真面目か!」と突っ込まれるくらい前のめり甚だしいし、
この業界はそんな時間に会議室に行ってしまうと大体、
他の会議がやっていて気まずい思いしかしないという展開になる。
そう思ったボクは目的地の近くで喫茶店を探す。
すると、「スエール」といういかにもタバコが吸えそうな喫茶店を発見!
ボクは10分ほどそこで、
タバコをくゆらせつつ、美味くも不味くもないアイスコーヒーを飲みながら時間を潰すことにした。

1分30秒後、一人のおばちゃんが喫茶店に入店。

開口一番、「元気~?」
どうやら、常連らしい。
「まあ、いいか」と思う。
喫茶店は誰にでも平等に見えて、常連と一見の客では天と地ほどの差があるものだ。
そして、その入店したおばちゃんは次に「そこで10円拾ったよ、ラッキーだったわ」と満面の笑みで語りだした。

いつもより少し早いが、トキョめきの瞬間である。

10円と言ったら”うまい棒”しか購入できない通貨である。
それを一人前のアニマル柄を着たおばちゃんが自慢気に喫茶店の店長であるおばちゃんに話す。
もちろん、優越感を感じられる金額ではない。
10円を拾っても『僕たちは世界を変えることができない』
しかし、おばちゃんは無邪気としか言いようがない満面の笑みとテンション。
おばちゃんは落合の嫁のような、いかにもなおばちゃんだったが、
ボクは10円で興奮するそのおばちゃんに”トキョめき”を覚えてしまったのだ。
拾った10円は10円以上の価値があると実感した瞬間の快感を体感。

でも、ボクはそれ以上、彼女を見る事ができなかった。
それはやっぱりビジュアル的には見るに値しなかったという事もあるし、
会議の時間が迫っていたから。


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