「どうせボクなんか……」と思っている
草食系かつ自信不足の男なんか男じゃないと思っている女性しか歩いていない恵比寿。
そして、そんな女しかない恵比寿駅前のスタバ。
まさかの”トキョめき”と出会った。

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よく空き時間があるボク。
その日は1時間の空き時間。
「時間あったからスタバでコーヒー飲んでたわ、あっ恵比寿のね」っていう
オシャレな口実が欲しくて、
待ち時間は「タリーズ」より「エクセルシオール」より「スタバ」に勤しむボク。
しかもできれば野外というか、オープンな席でこれみよがしに本を読む。
でも、本はみうらじゅんの「LOVE」
でも、ブックカバーでタイトルは隠れているので
「マディソン郡の橋」の原書を読んでいるような顔で佇む。
でも、頭の中で考えているのはみうらじゅんの”やりにげ”テクニック。
「良いな~」みたいな。
男は童貞かやりまくる男か、どっちかに絞った方が面白い男になるみたいな事が書いてあるが、
ボクはどちらでもないのでしばし悩む。
そんな事を考えていると急に後ろから女子の声。

「あの、すいません♪」

なぜ、後ろから女子に話しかけるとこんなにもドキドキしてしまうのだろう。
FIELD OF VIEWの名曲「ドキッ」が鳴り出した。
しかも、可愛い。
武井咲的なさわやか&夜はアクロバティックみたいな雰囲気の女子だ。(ジャスコのCMがカワイイ)
一瞬が永遠のように感じる思考の中、また声が聞こえた。

「この椅子お借りしてもいいですか?」

ボクはそんな妄想をしていたもんだから、
「あっぁっあっ、いいですよ」とビックリするくらい挙動不審なオッケーを出してしまった。
その女子は椅子を持ち、去っていた。
日常のささいな出来事。
でも、過剰に自意識過剰で異常なボクはこう考える。
「彼女はボクの事を一目見て、惚れた。それで、試行錯誤の上、声をかけようとしたが、いくらなんでも女性の方から声をかけるなんて……どうだろう?はしたないと思われちゃうかも…どうしよう?そうだ、あの空いている椅子があるから『相席とかいいですか?”スタバだけに”あっワケわかんない事言っちゃったワタシ、言っちゃったってカタカナで書くと急にやらしくなりますよね?あっ、ワタシ初対面の人に何言ってんだろ?いっけね!あっ、いっけねって江戸っ子みたいになってる。ちなみに、いっけねもカタカナで書くと急に男の人に対する嫌味に聞こえますよね”』
とかいうイメージトレーニングをしてたけど、
結局恥ずかしさが上回って、「この椅子お借りしてもいいですか?」になったのだと思う。

でも、ボクは彼女をそれ以上、見る事ができなかった。
妄想が長すぎたし、
彼女を探してキョロキョロしたりなんかしたら
「うわ、あの人なんか意識してる?」と思われてしまうから。



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