江戸川区の、平井- 
荒川の西岸にありながら江戸川区に属し、隣接する江東区・墨田区とは
旧中川によって隔てられた、飛び地の様相を呈する一帯だ。
このあたりまで来ると東京の下町情緒も薄れてくるが、古い民家の軒先には水瓶や鉢植えが
雑然と並べられていたりして、微かに残る江戸情緒に思わず顔がほころぶ。
 
派手な破風などは見当たらず、そこらの民家となんら変わりない建屋。
おそらく、日本で最後に新築の銭湯が建てられた昭和40年代の創業であろう。
内装も洋の色が濃く、だいぶ時代が下ってきたことを実感させられるが、
最奥部には見事な富士の絵-
伝統と現代との狭間で揺れ動いていた当時の空気が実感できる一軒だ。

客の入りは、決して多くはなかった。それでも若い夫婦で切り盛りし
なんとか湯を沸かし続けてたのだが、あまりに影響の大きすぎた大震災。
震災後しばらくして、ついに存続を断念したという。

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○ 長寿湯
住所 東京都江戸川区平井6-71-5
※ 2011年6月22日をもって廃業