南千住を初めて訪れたのは、2008年初夏- 
たしか、天王祭のころだったと記憶している。

天王祭とは南千住から町屋に三ノ輪、はては三河島までに跨る下町のお祭りだ。
南千住駅を降りると法被姿で賑やかな駅前、通りには威勢のよい神輿集団。

駅前は再開発が進み変容著しいが、下町らしい活気は未だ健在だ。

南千住に来ることがあると、私は今でもこのころの様子を一番に思い出す。
 
二重の千鳥破風を備えた、下町らしい立派な宮造り銭湯・又六湯。

風変わりな屋号は創業者の名、名前ひとつにも時代性が垣間見えよう。
温もり溢れる木の香り、新しいものなどなにひとつ見当たらず、昭和の風情をそのまま残した店内。

天王祭の頃ともなると法被一枚の褌姿が汗を流しにやってきたりして、

いかにもな活気ある下町情緒を演出してくれたものだ。

しかし、そんな又六湯も私が訪れてから三度目の天王祭のころ、廃業。

歴史の深い南千住だが、駅東は複合商業施設の台頭などにより、すでに東部の銭湯は壊滅状態。

なんとか数軒が残る西部地域だが、受難の波はすでにそこまで押し寄せてきている。

 

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○ 又六湯
住所 東京都荒川区南千住6-51-19
※ 2010年6月18日をもって廃業