初々しい予備校生を狙った卑猥な女性しか歩いていない代々木。
そんな駅でまさかの”トキョメン”と出会った。

ボクは山の手線から大江戸線に乗り換えるため、
エスカレーターに乗っていた。

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中継地点。
エスカレーターの踊り場のような所を通り過ぎ、
下りのエスカレーターに乗った。
僕はいつものように乗る瞬間、手すりをつかみ体をエスカレーターに乗せない。
すると、手すりの強引さに任せてひっぱられるようにエスカレーターに乗る事ができるのだ。
小泉今日子みたいな女性に
「早くおいでよ!」みたいにひっぱられるような感覚。
たまらない。
根っからのドMなのかもしれない。
そんな恍惚感に浸りながら、エスカレーターに乗っていた。
いや、性格的には乗せられていた。
 
すると、登ってくる隣合わせのエスカレーターに
一人の白人さんが乗っていた。
リー5世のような雰囲気、35歳くらい(芸風的には好き)

トキョめきの瞬間である。

彼のその顔は今にも昇天しそうな、
まるで険しい山の頂上に到達した時のような、
サウナを出た瞬間のような、何とも言えないような気持ち良い”パァ”っていう表情をしていた。
左手にはコーラの缶を持っていた。
なるほど。
そういえば、僕が見た時に左手を下ろすような仕草をしていた。
彼はコーラを飲んだ瞬間だったのだ。
その直後の顔を僕は見たのだ。
「白人さんはコーラを飲んだ瞬間、あんな幸せそうな顔をするんだ!」
なんとなくカルチャーショック。
僕もビールを飲んだ瞬間、あんな顔をしてるかもしれない。
でも、ノンアルコールのコーラで
あんな顔ができるなんて、ボクらよりコーラを楽しむ才能があるんだな、白人って。
日本人にとって、あんな顔をさせてくれるようなドリンクって何だろう。
緑茶、麦茶、抹茶?
今いち、ピンとこないので、
ここは暫定的に「爽快ビタミン」にしておこう。
「爽快ビタミン」が飲みたくなった。

でも、ボクはそれ以上、彼を見る事ができなかった。
早く家に帰りたかったし、
エスカレーターは自由に止めたりできないから。


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