久しぶりに渋谷に行った。

人気の少ない、ハチ公口のスクランブル交差点。
109の前で、ギャルたちが募金箱を持って立っていた。
いつもギラギラしているセンター街の看板の灯りはところどころ消えていた。

道玄坂、ラブホテル街の入口にある名曲喫茶ライオンに辿り着く。
私の隠れ家。たいていはひとりで来る。
1926年創業、戦後建て直されているが古い建物のため地震の影響が心配だったが、大丈夫だった。
お化けのように巨大なスピーカーから、古城のような内装に音楽が響き渡る。
時折、レコード針のぎぎぎという音も聴こえる。
節電対策なんかではなく、お財布の小銭も見えないほど店内はいつも暗い。

今日は人がたくさんいる。
皆、ひっそりと落ち着ける場所を求めているのかもしれない。
古い汽車の座席のような席に深く腰を落ち着ける。
座り、音楽に耳を傾けていると、暗闇を走る銀河鉄道に乗っている気分になる。

コンサートがはじまる。
毎日午後3時と午後7時から行われるステレオコンサート。
今夜は、バッハのブランデンブルク協奏曲第5番二長調。

そろそろ銀河鉄道を降りよう。
ホットココアの代金を出そうと思ったら暗くて小銭が見えなかったので、千円札を出す。

ここは私にとって、愛するトーキョーの、安らぎの場所である。

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名曲喫茶ライオン
渋谷区道玄坂2-19-12
03-3461-6858
11:30~22:30
無休
http://lion.main.jp