さてお馴染みの、4丁目の交差点を撮影してみました。せちがらい不況の時代と言われても、夕暮れ時の銀座の街並は煌びやかなもの。服部時計店・和光の時計台も創業以来はじめてブルーにライトアップされています。


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でも何か変ですね、お分かりになりましたか? この角度からの撮影、どえりゃ~ 高い位置からのシューティングです。どこから撮影したのでしょうか? そうなんです三愛のビルからなんです。

 

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さて男性諸君は、三愛と聞いて、何を思い浮かべますか? 下着売場か、水着売場、はたまたアパレルか。それ以前に、まずはビルの中に入ったことはないのではないでしょうか?

 

そしてまた、数年前から、三愛の電飾広告が変わっているのをご存じですか
2006年から、現在のRICOH ・リコーになりました。


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その前は2004年から Vodafone

その前は2000年から サントリーの響

その前は1994年から コカコーラ

その前は1990年から San-ai ・三愛

その前はずっとさかのぼって1963年から 三菱

30年近くも三菱の広告だったので、お年寄りは三菱ビルって言ってました。

 

1963年は三愛のビルができた年なんですが、正しいビルの名前は「三愛ドリームセンター」といいます。なんか今となっては古くさいですが、当時としてはかなり夢と期待をかけた名前だったのでしょう。これ実は愛称公募です。なんとビックリ4 万通もの応募があったとか。

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そしてこのビルを建てた三愛の創始者は、なんと現在のリコーの創始者でもあるんです。企業人としていろんな会社を興していき、その中に三愛があったというわけです。50年近く立ってやっとこさ自社グループのリコーの電飾看板になったわけですね。


私うっかりしてまして、ホントはもう一階上の高い位置から撮影できたのですが。どれくらいって? 和光の時計台が真横に見られる位置ぐらいです。ちょっと昔は、9階にハッピーカフェというセルフの喫茶店があって、窓越しに銀座の街並みを眺望できたのですが、やむなく閉店してしまいました。だって週末以外はほとんどお客さんが来ないんですもの(笑。


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というわけで現在は8階と9階は、歴代リコーカメラの名機を展示したフロアと、写真ギャラリーに生まれ変わってしまいました。


もともとこの丸いビルを建てる前は、三角形の変則土地だったんですが。狭い土地にビルを建てるとなると、非常階段やエレベーターやら入れ込む。各階そうとう狭いフロアになるんですね。それで創業者が考えたのが、奈良の五重塔みたいに心柱を真ん中に据えて、中心の柱の回りにグルグル回るビルを考えたのですが、さすがに許可が下りなかった。


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やむなくビル全体を総ガラス化した円筒型のビルを考案しました。だから近未来の夢のビル、ドリームセンターなんです。有楽町の交通会館を含め、円筒型というのは当時は最先端をいく建築様式だったようです。ちなみに今は改築された銀座4丁目交番、円筒型の交番も三愛が寄贈したらしいです。


そしてビルのオープニングがこれまたスゴイの連発。前代未聞の深夜午前0時にお披露目です。お向かいの三越百貨店の屋上からサーチライトを照らし、ビル外壁に吊されたゴンドラが上昇するタイミングで各階のフロアが点灯する。ゴンドラにはトーチを掲げた自由の女神に似せた女性が立っていました。3000 ルクスに輝くピッカピカのビルは、銀座の闇を明るく照らしたことでしよう。

 

交差点に轟き鳴り響くドラムロールは、コメディアンのフランキー堺。皇室の三笠宮崇仁親王夫妻もご臨席、千人以上の招待客と見物人が入り交じり、路上はてんやわんやの大騒ぎ。模擬店も並び、街頭一帯を一大パーティ会場にしてしまったという記録が残っています。

 

今は昔、三愛ドリームセンターにそんな過去があったとは。ビル8階のギャラリーは訪れる人も少なく、おデートの場所として最適。夜の銀座、イルミネーションのシャワーをカップルで楽しめる絶好のスポットです。ただし夜の8時まで。

 

ちなみに三愛とは 「人を愛し 国を愛し 務めを愛す」三愛の精神ですって、私、ちーとも知りませんでした。

 


【 三愛ドリームセンター 】

◎中央区銀座5丁目7-2 - 電話=03-3571-4275(代表)

◎http://www.san-ai.com/dc/history/ 三愛ヒストリー 三愛ヒストリー

 

【 RING CUBE ・リング キューブ】

◎中央区銀座5-7-2 三愛ドリームセンター8階/9階 (受付9階)

◎電話=03-3289-1521

◎開館時間=11:00~20:00 (火曜、年末年始休館)

◎入場料=無料