毎年この時期には、いろんな雑誌や新聞で、
「今年の1冊」とか「今年の3冊」といった
特集が組まれます。

これ選ぶの結構悩んでんだろうなって、
毎年思うのです。
こういう特集に登場するのは、
名の知れた人たちだから、
専門の分野のことを考えたり、
一辺倒って思われてもいけないと
思ったりするんだろうなって。

そんなこと気にしなくていいのが、
素人のイイところです。

私の今年の本は、なんだろう?

始まりはこれでした。


狐笛のかなた (新潮文庫)狐笛のかなた (新潮文庫)
著者:上橋 菜穂子
新潮社(2006-11)
販売元:Amazon.co.jp
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一昨年の年末入院して、退院したばかりだった
今年のお正月は、北海道へ引っ越して始めて、
帰省ができなかったのです。
自分で作ったお雑煮を食べていた札幌の部屋へ
姉から電話がかかってきました。

「お前、NHKでやってるアニメ面白いから見てみろ」
(↑姉はこんな口調です)

そうして見たのが「獣の奏者エリン」。
最初は、いかにも子供向けって感じの絵に
「え〜」と思いましたが、見始めたらはまってしまって。
作者の上橋菜穂子さんが書いた本を片っ端から読みました。
いや〜、面白かった!

中でも良かったのがこちら。

精霊の守り人 (新潮文庫)精霊の守り人 (新潮文庫)
著者:上橋 菜穂子
新潮社(2007-03)
販売元:Amazon.co.jp
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この作品は、シリーズの第一作で、
現在10作目まで続いています。

シリーズすべて、あっという間に読んでしまったのは、
上橋さんのストーリーテリングの巧さも然ることながら、
彼女のもう一つの顔、文化人類学者としての知識が
そこここにちりばめられているからなのです。
架空の国を舞台にしながら、そこに歴史があり、
人々の息づかいや培われてきた文化があって、
読者は簡単にその世界に入り込むことができます。

久しぶりに、本の世界から出ていきたくないと思った本でした。
そうしてしばらく、ファンタジーの世界に
浸かっていましたが、6月に予定した旅行に向けて、
読む本もだんだんイギリス一色になっていきました。


こんなベタな本を初めて読んで、
こんなに面白いものだったのかと思ったり、


そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
著者:アガサ クリスティー
早川書房(2003-10)
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ポアロを見まくり、


名探偵ポワロ 完全版 DVD-BOX 1名探偵ポワロ 完全版 DVD-BOX 1
出演:デビッド・スーシェ
ハピネット・ピクチャーズ(2005-08-26)
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読みまくり、



ポアロ登場 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)ポアロ登場 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
著者:アガサ・クリスティー
早川書房(2004-07-15)
販売元:Amazon.co.jp
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こういう旅をしようとか、


アガサ・クリスティを訪ねる旅―鉄道とバスで回る英国ミステリの舞台アガサ・クリスティを訪ねる旅―鉄道とバスで回る英国ミステリの舞台
著者:平井 杏子
大修館書店(2010-03-19)
販売元:Amazon.co.jp
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 これで机上シュミレーションも沢山しました。


トーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表 2011冬・春トーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表 2011冬・春
ダイヤモンド・ビッグ社(2010-12)
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で、どんな旅だったかというと、
いろんなところへ行って、
イギリス名物のまっずい料理も食べたし、
名所旧跡も見ました。
日本で「イギリス人は差別主義者が多いから、
きっと嫌な思いするわよ」と脅されたけれど、
みんな親切で、話しやすかった。
でも、印象をひとつと言われたら、
思い浮かべるのは、あるお墓のこと。


イギリスだより―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)イギリスだより―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)
著者:カレル チャペック
筑摩書房(2007-01)
販売元:Amazon.co.jp
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カレル・チャペクが書いています。


わたしは、かの地で、他のさまざまなもの、
たとえば、城と公園と波止場とを、
イングランド銀行とウェストミンスター寺院を、
そして歴史的な記念碑的なものを、あちこちで見た。
しかしそれは、わたしにとってイギリスのすべてではない。

イギリスのすべて、それはただ、あの老紳士と
自転車の少女のいた、緑の庭園の中のあの素朴な
家なのだ。なぜなのか、それはわからない。
わたしはただ、そうなのだと話しているだけである。


たった数日を過ごしただけだったけれど、
わたしにとってのイギリスは、ビッグベンでも、
大英博物館でもなく、ハイゲート墓地で見た
ダグラス・アダムスさんという人のお墓です。
その墓石の前には、何十本ものペンが刺さっていて、
墓石には、
Douglas Adams 
Writer
1952-2001
とだけ。

なぜそれが、トラファルガー広場より、
ヴィクトリア&アルバート博物館より
印象的なのかと言われたら答えられないけれど、
それがわたしのイギリス旅行で、
そして今年の一番の光景なのです。

来年はどんなことが気になって、
どんな本を読むのかな。

来年もまた、どっぷり浸かれる本と合えますように。