これ以上ないくらい気持ちの良い秋晴れの日。

六本木ミッドタウン内の「21_21 DESIGN SIGHT」に、佐藤雅彦氏の"これも自分と認めざるをえない展"という企画展を観に行った。
テーマは「属性」。体験型の展示を楽しみながら、「自分」というものの不安定さ―社会や他人からの捉えられ方は、環境や関係性などによって異なる―というようなことを体現した。

アートな刺激を受けた後、「カフェで目録を読む」という至福の時間を過ごすために、「カフェ・フランジパニ」というカフェを目指す。
六本木ヒルズの手前なので少し歩くけれど、途中の「芋洗坂」という、名前にも風情のある坂がとてもよかった。坂の両脇には低層階が飲食店になっている古いビルが建っている。建物が隙間なく並んでいる様子は、なんだか日本じゃないみたい。大げさに言えば、パリの路地みたいな雰囲気だ。六本木ヒルズと六本木ミッドタウンという、今の六本木を代表するようなエリアの真ん中にありながら、古き良き六本木の面影を残している。ちょっと寂れている感じがなんとも懐かしく、ほっとする。(ちなみに、坂の途中で年配女性の大行列があり、何かと思ったら野口五郎のコンサート会場だった。)

目当てのカフェ・フランジパニは、ミッドタウンから芋洗坂をヒルズのほうへ下りきったところにある。
オープンカフェが開放的で、中に大きな緑色のフォルクスワーゲン・ワゴンが鎮座しているのがなんともいえない存在感。入るとカウンターとフォルクスワーゲンの席(車の中に席がある!)、奥がテーブル席。私たちは奥のテーブル席へ。大きなソファに埋もれるようにして座る。
大きな車の後部座席に乗っているみたいでなんだか落ち着く。 大胆なレイアウトだし、内装もサイケデリックで斬新だし、私はこのお店のことは何も知らないのだけど、不思議ととても安心感のあるお店。理由はなんだろう。六本木の路地という土地か、良い秋晴れという今日の日か、企画展の余韻か、お店の人の人柄か、かつては青山の移動カフェとして使われていたというフォルクス・ワーゲンか。

いろんな素敵なものが相まって、素敵なカフェの時間になった。     

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カフェ・フランジパニ
港区六本木6-8-21
03-3478-2966
11:30~2:00
無休