トーキョーレトロコラムを担当するyuji氏の個展「usual texture」を観に行って来た。

じっとり湿気を含んだ初夏の空気を感じながら、ゴールデン街を抜けたところにある「新宿眼科画廊」へ。
今回展示されていたのは、臨海地域を中心とした東京の写真だった。私にも身近な光景だ。デジカメで撮影され、インクジェット用紙にプリントされた東京の町。早朝に撮影された、人がほとんどいない都市。巨大な建物の、圧倒的な存在感と不自然さ。「物理的に巨大な建造物は、歴史を踏みつぶす」という yuji氏の言葉が印象に残った。

写真を観たあと、新宿眼科画廊にお勤めの、トーキョーワッショイのライターでもあるつえこさんとお話しをていると、歌舞伎町のど真ん中に24時間営業の喫茶店があるという。
気になったのでyuji氏とそのお店に行ってみることにした。 西武新宿駅に近い、ホストクラブや風俗店が建ち並ぶ界隈で、思い切りキョロキョロしながら喫茶店を探す。しばらくして見つかった。「無料案内所」の2階、「コーヒーショップ クール」というお店だった。

看板には、「24時間、年中無休」と書いてある。さりげなく書いてあるけど、 24時間営業の喫茶店なんて、滅多にない。というより、初めてお目にかかった気がする。
中はいたって普通の町の喫茶店だった。片方がソファ(もちろん、古びた赤いベルベット生地が張られている)、片方がイスというテーブル席に座ったら、私が座ったイスの高さのほうが高く、yuji氏を見下ろすような体勢になってしまった。

yuji氏を見下ろしながら私はミルクを入れすぎたコーヒーを飲む。彼が注文した生姜焼きピラフからにんにくの香ばしい匂いがする。懐かしい気持ちになる。
内装はかなりくたびれているから、この界隈の歴史を知っているお店だろうと思う。このお店も、きっと人々のいろんなドラマの一場面になったであろう。

また訪れて、窓の外の猥雑な雑踏を眺めながら過ごしてみたいけど、ひとりじゃちょっと入れないかなあ、この喫茶店は。 

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コーヒーショップ クール
新宿区歌舞伎町1丁目、西武新宿駅近く
24時間営業
無休