池袋駅西口周辺を歩いていると、塀の向こうに赤い煉瓦作りの建物が見えた。

何だろうと思い、塀づたいに歩いていくと、それは立教大学だった。こっそり潜入してみる(別にこっそりする必要はないけど)。学内の施設の多くが赤い煉瓦作りだが、所々に「本当に古そうな」建物が点在している。
特に、キャンパスの中心部にある、蔦の絡まる大きな建物は、はっとして立ち止ってしまうほど存在感があった。この建物は「本館」で、大正7年に建てられたもの。モリスという宣教師の寄付によって建設されたもので、東京都の選定歴史的建造物にも指定されているらしい。

今年は桜をすっかり見逃してしまったのだが、立教大学はまだ桜が咲いていた。八重桜だろう、だいぶ葉になっていたが、ピンクの花びらが、重厚な建物に軽やかさを添えていた。
本館の前にある広場にはベンチが置いてあって、そこは学生カップルで満席だった。建物の雰囲気は私の通っていた大学とは似ても似つかないけれど、やっぱり懐かしさを感じる。

大学の正門を出ると、真正面に「Carmel」という小さな喫茶店があったので入ってみる。
壁には、立教大学の野球部の何かで優勝したときの写真や、合唱サークルの告知のビラなどが貼られていて、「大学前の喫茶店」の雰囲気たっぷり。

カウンターでは、暇をもてあました感じの男子学生がレモンスカッシュを読みながら、店内に備えてあるテレビを観ていた。ブレンドコーヒーを注文する。テーブルクロスの、水色のギンガムチェックと、コカコーラの灰皿、そしてコーヒーカップの色が、なんだか懐かしい。

懐かしいといえば、店内に吊るされている何冊ものノートが目に留まった。なんていうんだっけ、「また来ます(ハート)」みたいなメッセージとか、相合傘とかが書いてある、お客がメッセージを残していくノートだ。以前はお店でよく見た気がする。喫茶店とかレストランとか、たまに家族旅行で行ったペンションとか。久しぶりに見た。何冊もあったが、ノートの吊る下がったその場所だけ、時間が止まっている気がした。

もうずいぶん書き込まれていないのだろうか、それとも今も学生たちが、何かを書き込んでいるのだろうか。    

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Carmel
豊島区西池袋5-10-2
8:00~19:00