(この店名で、「トーキョー喫茶です」なんて、弁解の余地がない。)

 浦和に越してきたとき、駅前に素敵な喫茶店があった。浦和駅東口の駅舎は、少し大きめの民家みたいな建物だった。その民家の「離れ」のような感じの喫茶店だった。
洋館のような建物で(三角屋根だったかどうかは忘れたけれど)、きちょうめんな雰囲気のマスターがいて(蝶ネクタイだったかどうかは忘れたけど)、モーニングには、きっちりと四角(あるいは三角だったかもしれない)に切られた、ハムときゅうりとチーズのサンドウィッチ(辛子ももちろんうすくひいてある)がバスケットに載せられて出てくるお店だった。

一度訪れ、しばらくして、駅前の再開発のためにお店はなくなってしまった。 そして、今の私の最寄の喫茶店はここ「埼玉屋」である。
浦和駅東口からすぐの雑居ビルの2階。日曜日はやっていないが、モーニングはあるし、ランチもいろいろあるし(定番のナポリタンから、母の味を思い出す親子丼まである)、スペースもゆったりしていて落ち着けるから、たびたび訪れている。

この店の特徴は、店のど真ん中に鎮座する「電話ボックス」である。昔の喫茶店の、待ち合わせ場所としての役割がどれだけ大きかったかを思わせる設置方法である。(もちろん、喫茶店は今も立派な待ち合わせ場所だけれど、今は携帯電話があるから、喫茶店じゃなくても待ち合わせられる。) 公衆電話って鳴るんだっけ、とふと考える。
映画「アメリ」で、アメリが、恋するニノに公衆電話を使って呼び出す場面があるが、日本の公衆電話は?そもそも、最近は公衆電話自体をめっきり見なくなってしまい、目にするといえば、まさに古い喫茶店やレストランなどになってしまった。

それにしても、このボックスに入って電話するのはちょっと恥ずかしい。もちろん、ここに入って電話している人を見たことはない。

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埼玉屋
浦和駅東口より徒歩約1分
日曜休