オーギョーチィ、漢字で書くと「愛玉子」。

「愛玉子」を知ったのは、台湾。味よりも、私の名前が入ってる(というより、真ン中に「玉」が入ってる!)ことから、気になる存在になった。調べていると、谷中にこれを食べさせてくれる喫茶店があるらしい。その名も「愛玉子」という名前の喫茶店だ。

台湾の食堂を思わせるそっけない店内。ほとんどが普通の椅子とテーブルの席だが、壁側に二席だけ、重厚なソファを配してあり、そこに座ることにした。
テーブルの上にある古い雑誌の切り抜きを読んでみる。愛玉子は台湾の玉山付近で取れる愛玉子の種が原産。愛玉子は米と同じくらいのカロリーがあり、かつては薬科大の先生がご飯代わりに食していたそうだ。昔はこの愛玉子が食べられるお店が浅草などにも数店あったらしい。なんだかえらくピンポイントな食べ物だけど、流行った時期があったようだ。
愛玉子のキレイな黄色はレモンシロップの色だけど、渋いお店に映える。コーヒーも濃くておいしい。

静かな店内に黒電話が鳴り響く。大きな音にびっくりする。おかみさんが電話を取る。電話を終えたあと、おかみさんがテレビをつける。画像は乱れていて砂嵐しか見えない。ほとんどラジオ状態だ。
しばらくすると、「オダギリジョー」と言いながら、女の子グループがお店に入ってくる。それも一組じゃなく、何組も。途端にお店が賑やかになる。愛玉子は、オダギリジョーが主演の「転々」という映画のロケで使われたのだ。女の子たちは皆もれなく愛玉子を頼み、もれなくカロリーを気にしながら食べていた。

トイレはどこかとおかみさんに聞くと、通されたのは家の中。お店の裏のドアを開けてスリッパに履き替えて、板敷きの廊下の突き当たりにあるトイレへ。 思わぬ場所で他人の生活の匂いを嗅いだ。 

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愛玉子
台東区上野桜木2-11-8
03-3821-5375
10:00~18:00
不定休