とても暑くて、冷たい飲物が飲みたくて、路地に「珈琲サン」という小さな喫茶店を見つけ
て、入った。

ごくごく、普通の喫茶店だ。壁にかけられた大きな冬の森の絵が、なぜか気に入った。
店内にはクイーンの「バイシクル・レース」がかかっていた。

レモンジュースを注文した。最近、レモンジュースが好きだ。きっかけはこの前、何かの
会議で、喫茶店から「出前」のレモンジュースが来たことだ。1/2サイズのレモンが豪快
に入った、かなりすっぱいレモンジュースで、みんな一気に目が覚めた。でもこのレモン
ジュースが濃厚で、とてもおいしかったのだ。

お店を出て、少し時間が空いたので、合羽橋商店街をぶらぶらすることにした。合羽橋商
店街は、業務用の什器や調理器具、食器などが並ぶ商店街だ。「食品サンプル」の専門
店があることで有名かもしれない。
今日は土曜日だったので、業務用で使う人よりも、外国人や、物好き(?)の観光客な多
い(私も多分に漏れずだが)。ニイミのコーヒーカップの階段や巨大コックの胸像も健在だ。

商店街の路地をのぞくと、縁日が立っていた。行ってみると、矢先稲荷神社という神社の
お祭りのようだった。かき氷、やきそば、たこ焼き、鈴カステラ、金魚すくい、スーパーボー
ル。懐かしい「ちくちく」もあった。地元では「型抜き」を「ちくちく」と呼んでいた。難しい「ちく
ちく」をクリアすると人気者になった。型抜きをするための、ビールケースとベニヤ板で作ら
れたテーブルは子どもたちの溜まり場になっていた。
タイミングよく、好きな人と一緒に「ちくちく」できると、最高にどきどきしたものだ。

縁日を、好きな人と歩くのが憧れだった。浴衣を着て。手をつないで。
憧れが思ったとおり叶ったのか、あるいは叶わなかったのか、それはよく分からない。

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珈琲サン
台東区下谷2-3-16
03-3875-4672