銀座1~4丁目や京橋界隈のサラリーマンが、この夏に待ちこがれているランチ。
やっと今年も始まりました、「岩戸」の冷や汁です。
よく似た店名に、岩戸屋がありますが、これは別の店。
天麩羅屋の、天あさと天朝も、似て異なる店なのでお気をつけください。
さて岩戸の昼定食、年中出ている「まぐろ重」は特に有名ですが、
冷や汁はやはり夏期限定のメニュー。
その美味しさに、今か今かと催促するファンが多くいるのも事実です。

店頭の毛筆の品書きには、「冷し汁」となっています。
引き戸をくぐってまずは食券を購入、元気な仲居さんの声で「♪ひやし、一丁~」。
まるで神田「藪蕎麦」並みの符丁です。さっそく写真の冷し汁定食がやって来ました。

その皿数は、フワットとした食感のさつま揚げ、カレー風味のもやし小鉢、大根の漬け物、そして冷や汁とおひつのご飯の登場です。食べ方に、流儀なし。
ご飯をお茶碗によそって、たっぷりの冷や汁を底からすくってこれでもかとかけるだけ。
お茶漬け感覚でかっこんでいただきましょう。
写真の冷や汁の量ではまだかけ足りません(笑。思いっきりかけましょうね。

中身の具は、スライスしたきゅうり・千切りのみょうが・みじん切りの大葉・
ぐずぐすに崩した木綿豆腐とすり胡麻。味付けは軽く焼いた香ばしい白味噌です。
少し固めに炊いた温かいご飯とともに、ズズズズズズズズズズズっ~とはしたなく。
食べるというより、一気に流し込む感覚で、涼と一緒に味わいます。
温かいご飯に冷たい汁をかけて、同じ温度になった頃に
また次の冷や汁をかけて食べる。延々と続けていたい美味しい作業です。
シンプルなだけに味の差がてきめんにでます。
隠し味に、焼いた鰺を使ってコクと旨味を出しているそうな。
一見、猫まんま風のB級料理ですが、白味噌のマイルドな味わいが前面に押し出て、
非常に上品な一品に仕上がっています。
オーナーは宮崎出身、さすが本場の冷や汁をお試しアレ。
ちなみに、日本全国に冷や汁は存在します。
その昔、宮崎の僧侶たちが全国行脚でその美味しさを広めたのだとか。
うどん入りなど様々な冷や汁、いま流行りのインスパイア麺とでもいいましょうか。
食欲のない夏に、麺類ばかりでは悲しい。ご飯を食べて、元気をつけましょう。
加えて、あまり知られていませんが、まぐろ重とともにこの冷や汁は
夜でもオーダーが可能だとか (隠れメニュー)。
呑んだ〆の一杯としても、オススメ。
さてあなたも暑い日にはズルズルしてみませんか?......つづく
【日本料理 岩戸】
◎中央区銀座1-5-1 第三太陽ビル1F 電話=03・3564・3835
◎営業時間=11:30~13:30(ランチ)、17:00-22:30?
◎定休日=日祝