バー「オリベ」☆前回のコラムを出てから、交差点を昭和通りへ。ほほぉ~、こんなところに歌舞伎座の楽屋口があるんですね。
吸い込まれるようにフラフラと中へ入っていきました。大丈夫、捕まりません。関係者がどんどんと、守衛のチェックを受けて楽屋へ入っていきます。私は歌舞伎役者でも関係者でもないので、当然中に入れません。無理矢理突破すれば、こんな時期なので、警察に連行されますよ。で、楽屋入口を入らず左折。あらま、この先に「散髪屋の看板」がありましたよ。
ここをさらに右に折れると、なにやら、砂場が??? そうこの場所は、若手役者がトンボの練習をする場所なんですね。通称「トンボ道場」。トンボとは、立廻りの最中で、主役から切られたり投げ飛ばされるときに演技する宙返りのこと。これは「トンボを返る」と言います。
漢字で書くと、鳶。トビ職の鳶は、トンボとも言います。昆虫のトンボじゃないですよ。加えて、男子の和装の上に羽織る外套もこれまたトンボといいます。う~ん、鳶の羽の有様だからでしようか?屋根の上や土手の上などから、トンボを返って颯爽と着地すると、観客からドッと歓声がわくんですよ。オーッと。
主役を引き立てる演出ですが、かなりの高度な技術。そんな神聖な練習場を、「すんません、すんません、すんません~」と低姿勢でヒーコラ言いながら、汗だくですり抜けます。その奥には、洗濯して干してある着物やタオル、手拭いの山、山、山の洗濯場。そんな生活臭あふれる脇をすり抜けたさらに奥にあるのが「歌舞伎座の理容室」なんです。
もちろん歌舞伎座の中には髪結いの床山があるのですが、ココは一般の人でもOK。調髪台は、たった一席のみ。完全にマンツーマン。広さは六畳ほど。有名な歌舞伎役者の色紙が何枚も所狭しと飾られているそうです。楽屋に近いとうことは、そう、昼や夜の公演が行われている間は、BGMで舞台の雰囲気が伝わってくると言うこと。なんという贅沢なんでしょう。
銀座は、やはり身だしなみの街。此処はかなりマニアックな美容室ですが、男女問わず、理容・美容のお店はかなり多いんですね。トンボ道場は、ビルの中に入って存続すると思うのですが、しかし、4月以降はどうなっちゃうんでしょうね。無くなるのでしょうか?惜しまれる、銀座の光と影。ちよっと寂しい限りです。
さてとここを出て、中央通りを歩いていたら、あらま、またしても理容室の看板が? ......つづく
【歌舞伎座 ?理容室片岡】
◎中央区銀座4-12-15 電話=03・3541・2008?
◎営業時間=月~土=09:30~20:00? 日祝休?
◎カット・シャンプー・顔そり(セットで3000円)、完全予約制