かりんとう、何て懐かしい言葉の響きなんでしょう。漢字で書けば、「花林糖」。
小麦粉に水・卵・ふくらし粉を混ぜてこね、小さく切って油で揚げて糖蜜をからめたお菓子。
あんなもの、女子供が食べるものだと侮ってはいけません。
シンプルが故に奥深い、究極のかりんとうを作っている老舗が
ここ銀座にあるんです。かりんとう一筋の、「たちばな」。
商品は、浮気をせずにかりんとうだけです。西銀座通りの8丁目。
やっと見つけたお店は、小さくて狭い間口。かすかに甘~い香りが漂います。
引き戸を開ければ、ベージュ色の聚楽壁に、天井は竹造り。まるで茶室の趣です。
気を付けていないと通り過ぎてしまいそう。
多いんですよねぇ、銀座にはこんな目立たない滋味溢れるお店が。
藍の染め暖簾をくぐって次々とお客さんが、吸い込まれていきます。
もちろん皆さん、かりんとうだけが目当てのお客様です。
連休前や週末には、午前中から長い行列ができます。
普段使いだけでなく、東京のお土産や御進物として利用するためです。
勝手知ったるお客さんは、「丸缶の小をころで、5つ」。
写真は「ころ」 。「ころ」とは珍しい太めのかりんとうのこと。
細いかりんとうは「さえだ」と言います。
あるのはこの2種類のみ。後は包みのバリエーションがあるだけ。
進物用には缶入り、自宅用には袋詰めで十分です。
敢えて例えるなら、ころは男性的。さえだは女性的と言いましょうか。
食感の違いだけだろうと、これまた侮っていたら、ビックリします。
ポキポキッと折れるさえだは、芯までしっかりと揚げた感覚。
ころは、中がやや空洞になっていて、サクサクッとした噛みごたえ。
そのどちらも粉のうまみが中まで詰まっています。
揚げ油のクドさが浸透していないので、いくらでも食べられちゃう。
いや、贅沢にも交互に両方食べたいくらい。
また、艶やかに飴がけされたその姿にもほれぼれしそうです。
ひとつ口にほうばれば、べたべたする甘さではなく、あくまでも控えめ。
駄菓子ではなく、これはもう和菓子と呼んでもいいくらい。
銀座の大人の味、皆さんも是非試してくださいな。
ちなみに、都内では「かりんとう御三家」や「東京三大かりんとう」があるそうな。
?湯島の花月・?浅草の小桜、そして?銀座のたちばな。
加えて、たちばなはデパートにも一切出店せず、ネット販売もしていません。
この店にこないと手に入らない。そんな気持ちが、送り手の心に響くのでしょう。
受け取った方は皆さん一様に、以後ここのかりんとうの虜になるようです。
お茶請けはもちろん、私はウイスキーの水割りやモルトに合わせるのが大好き。
飲み物を邪魔しない味、でもずっとずっ~と後引く感じ。
男だって絶対にヤミツキになる、恐ろしいかりんとうなんです(笑。
さてと今日も買いに行くとしましょうか。
もなかの空也と同じく、「本日は売り切れました」の貼紙が。
あらら、残念。クゥ~......つづく
【かりんとう たちばな】
◎中央区銀座8丁目7-19 江安ビル1階?
◎電話番号=03・3571・5661
◎営業時間=月~金 11:00~19:00、土= ~17:00、日祝休
◎袋入りは800円、丸缶は小・中・大、角缶は(一号)から(四号)まで。
◎橘の絵が入った朱色の缶。どこかで見たことがあったりして、
お多幸のおでん缶と同じ? 仕入れ先が一緒なんでしょうかねぇ。
(いちお、ワッショイメンバーです、幽霊部員的な…)
まるで銀座詳しいぜ、ってな気分になれていつも楽しく拝読しております。
ここのかりんとう、大好きです!
なんというか、上品上等過ぎるステイタス的にも大好きです!