2009年ってどんな年だったかって難しいですよ。
オバマ大統領誕生もすごいし、マイケルジャクソンが亡くなったのもびっくりしたけど、この年はこんな年だったって何十年も経って象徴になるような時代の潮流なのかというとちょっと疑問。日本で言えば、政権交代か。
でも、新しい風もいつの間にか吹き止んじゃって、みんな、なんだかこう消化不良な感じ。


という世間の出来事とは関係なく、私は嫌なこともあったけど、楽しいこともある、フツーな年でした。いや、嫌なことの方が多かったかな。
ま、そんなことはさておいて、本の世界は相変わらず素敵な場所でした。


 


■2009年一番印象に残ったのは、『チャイルド44』


 


チャイルド44 上巻 (新潮文庫) チャイルド44 下巻 (新潮文庫)



 


ミステリーに明るくない私が、「このミステリーがすごい!」第一位に手を出して、そしてあっという間に読んでしまった本。


 


このミステリーがすごい! 2009年版 このミステリーがすごい! 2010年版


 


旧ソ連時代の大量少年殺人を題材にしたミステリーで、「殺人などあるわけない理想国家」で真実を暴くことの難しさにハラハラさせられました。


 


■2009年は、私にとってちょっとした江戸ブーム。
落語を好きになって、入門編をいくつか読みました。


 


CD付 落語入門


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成美堂出版
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5年ほど前に流行った宮藤官九郎の『タイガー&ドラゴン』を見て脚本も買ってしまった。


 


タイガー&ドラゴン〈上〉 (角川文庫)タイガー&ドラゴン〈下〉 (角川文庫)



これで大分演目を覚えたんです。


 



そしてなんと言っても心に残ったのは、『巷説百物語』。


 



巷説百物語 (角川文庫)


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京極 夏彦
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京極夏彦の作品、少し敬遠してたんです。
面白いけど、知識をずらーっと並べて披露されても疲れちゃうよって思ってた。
でも、『巷説百物語』は違うんですよね。
民俗学や伝説、巷説の知識は沢山出てくるけど、すぅーっと入ってくる。
何より登場人物が魅力的で、一人一人がどんな事情でそんな性格になり、そんな言葉を言える人間になったのか、知りたくて、知りたくて、ずんずん読み進みました。




一日江戸人 (新潮文庫)


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杉浦 日向子
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今まで江戸と言えば、杉浦日向子さんと田中優子さんの世界しか知らなかったのが、
ぐぅーんと広がりました。


 



■旅行のお供にした本はなんだったかな?
3月に中国に行ったのですが、その下調べに『<満洲>の歴史』という本を読みました。


 


 



〈満洲〉の歴史 (講談社現代新書)



小林 英夫
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旅したのが、大連から延辺で、昔の満州の辺りなんです。
満州という言葉に、日本人はノスタルジックな気持ちを向けがちだけど、
彼の地では、「満州」には必ず「偽」という言葉をつけて「偽満州」と
呼ぶのだそうです。
こちら側がどう思うかとは別に、相手がどう思っているか、
強く考えさせられた旅でした。


 


 


■2009年は、今まであんまり興味がなかったことに眼を開かされた年で、
絵や歌舞伎、オペラの面白さを知りました。
歌舞伎もオペラもスクリーンでしか観てないんだけど、今年は生を観たいな~
今年清水の舞台から飛び降りたつもりで、大枚叩いて買ったのが、
ウンベルト・エーコの美術の本。


 


 


   美の歴史 醜の歴史


 


 


ウンベルト・エーコは、これまでの読書人生の中でも一二を争う本、
『薔薇の名前』の作者ですが、哲学者でありながら、稀代の作家であり、
美術や中世史の世界でも一流なのです。


 


 


   薔薇の名前〈上〉薔薇の名前〈下〉


 


私は西洋美術のことをほとんど知らないから、「美」とか「醜」とかいう
キーワードで古代から現代までの西洋美術を教えてくれるこの本は、
正に教科書です。


 


さて、今年はどんな本と巡り合えるでしょうか?
2009年は、書いたり、書かなかったり、不定期で品薄のページになってしまいました。
2010年は、沢山書きたいと思っています。
どうぞ飽かず、よろしくお願いいたします。