先日、スウェーデンからのお客様と浅草で夕食をとる機会がありました。


ワインを朝から晩まで飲んでいるオジサンに「電気ブラン」を味わってもらいたくて、


「神谷バー」へ行く事にしました。


 


神谷バーは1880年4月にオープンしたとても古い洋食屋さん。


初めはお酒の一杯売りからのスタート。


翌年、舶来品のワインを扱うようになり、


まもなく、あの有名な「電気ブラン」の製造販売を始め、


洋食レストラン、割烹と現在の神谷バーに続いているようです。


 


学生時代に読んだ、様々な人の小説の中に、しばしば「電気ブラン」の言葉を目にし、


「今でも飲めるお酒なら、いつか飲んでみたい」と思っていました。


社会人になり、浅草を訪れる機会があった時に、一人、ふらりと神谷バーに立ち寄りました。


 


目の前にズラリと並ぶ食べ物サンプルのショーケース。


右手にレトロな雰囲気のカウンターと蝶ネクタイをしたレジの店員さん。


「さて。どうしたら電気ブランにありつけるのかしら?」


と、レジの店員さんに聞いてみると、まずは食券をここで買う、という事なので、


電気ブランと焼き鳥を頼んでチケットを貰ってから、空いている席へ腰を下ろす。


 


相席のおばさんが唐揚げを食べている。ビールを飲んでいる。


周りの人々は、昼間からお酒を飲んでいる。休日の特権だなぁ。


などと思いながら、下町の雰囲気を味わっていました。


 


間もなく、蝶ネクタイをしたウェイターがお冷と引き換えに、


私のチケットを片手でパチン!とちぎる。まるで指パッチンをするような手つきで!


その鮮やかな動きにあっけにとられていると、


唐揚げを食べていたおばさんが話しかけてきました。


「あなた初めて来たの?」


「はい、電気ブランを一度飲んでみたくて」


「あら、あのお酒は強いわよ、私はだめ~」


と気さくに話が弾んでいって、お店を一緒に出るまでワイワイと話をした思い出があったのでした。


 


琥珀色の電気ブランは不思議な味で、甘いけれど、度数が強い為か、


最後にビビビと焼けるような感じがあります。


このカクテルのベースはブランデー。


そこにジン、ワインキュラソー、薬草などがブレンドされているようですが、


レシピは未だに神谷バーの企業秘密のようです。


 


 


そんな歴史と下町情緒溢れる洋食屋さん、


きっと旅行者には新鮮に見えるに違いない、


と連れて行ったところ、大変喜んでくれました。


電気ブランは「薬の味がする!」と言ってオジサンは一口でやめてしまいましたが、


オバサンは「フルーティーで美味しいわ!」と飲み干してくれました。


食事のメニューもカニクリームコロッケやグラタン、


海老フライをほおばって、大満足だった様子。


 


店内の雰囲気がガヤガヤと賑わっていた上に、


酔っ払いの下町に住むオジサンが


北欧の巨人たちを珍しがって話しかけてきたので、


日本の下町の空気を存分に楽しんでくれたようでした。


 


 


やはり、旅の魅力は土地の人と関わる体験ですよね。


ちなみに、指パッチンでチケットを切ってくれるウエイターさん、


今もまだ健在で、今回は4枚重ねて一気にパチン!としてくれました。


北欧の巨人たちも目を丸くしていましたよ。


神谷バーを訪れた方は、なめらかな肌のメガネのウエイターさんがいたら、チェックです!


 


 


 


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 神谷バー


東京都台東区浅草1-1-1


TEL:03?3841?5400


 


東京メトロ・銀座線・・・浅草駅下車 3番 出口


都営地下鉄・浅草線・・・浅草駅下車 A5番出口


東武本線・伊勢崎線・・・浅草駅下車 正面出口


いずれも徒歩1?2分