台風が過ぎたら、夜も急に涼しくなってきましたね。秋めいてきた二子玉川界隈、さきほど家に帰ってくると、おやまあ。珍しいお客さんがやってきているではないですか。
彼は、トノサマバッタ。多摩川界隈に棲む、正真正銘の"草食男子"です。スリムで筋肉質なボディ、スタイル抜群の痩せマッチョ。文字通り「殿様」の枕詞が似合う、多摩川のイケメンナイスガイです。ウチのマンションがあるのは、多摩川の土手のちょっと下。多摩川の草原に近いとはいえ、びゅんびゅん車の行き交う通りを挟んでいます。飛翔能力にも優れた彼ら、きっと飛んで渡ってきたんでしょうね。その長い後翅(こうし)が、彼らの活発さを物語っています。
でも、なんだかおかしいと思いませんか。バッタって、緑色じゃないですか。彼らは、捕食される側の弱い動物です。ふつうは草に溶け込む緑の"保護色"のはずですが、彼は茶色なんです。実はおなじトノサマバッタでも、"群生相"というタイプ。ふつうは1匹でのんびり草を食む、穏やかな緑色の"孤独相"なんですが、なにかの要因でバッタの数が増え、こども時代の生息密度が高くなってくると、この"群生相"になるんです。翅は長く、脚は強靭に変化し、長距離の飛翔に強くなる。育った場所が過密になり、食料不足になって全滅してしまう前に、集団で飛び立って新天地を探すためのカラダにモデルチェンジするんですよね。
今年の夏は、観測史上かつてない猛暑だったそうです。多摩川の昆虫たちも環境の変化に適応すべく、弛まぬ進化を続けているのかもしれませんね。
相変異 (動物)
動物における相変異(そうへんい)というのは、主として昆虫において、さまざまな生活条件、特に個体群密度の変化によって、異なった姿と行動の個体を生じることである。(Wikipediaより引用)