nikotama_022.JPG
 
多摩川の花火大会も終わると、ニコタマの夏もいよいよ終わりです。いつの間にか涼しくなった夜の空気に、住民たちは次の季節を感じとります。
 
そんな中、多摩川近くでようやく彼らの姿をみつけました。えっ、何匹もみつけているじゃないかって?いえいえ嬉しいのは見つけたことが、ではありません。自然の状態で、彼らの素の姿に出会えたことが、です。たしかにこれまで何度も、ニコタマで彼らを見つけてきました。けれど街灯の下トラップ採集と、実はどれも人間の影響下にあったんです。森の中を探しまわっても見つけることはできず、まったく自然の状態の彼らには出会えないのかと思っていました。
 
この企画を始めて以来、いつも彼らの棲みかを探していたんですが、通勤時に田園都市線の車窓から目をつけていたのが多摩川近く、ほんとにちっちゃな森でした。俗に言われるクヌギでもコナラでもない、けれど重ねに重ねた経験で、なんとなく感覚でわかってしまうんですよね。
深い藪をかき分けて辿りつくと、いました、いました!あたりに漂う独特の甘い香り、根っこ近くの細い幹に彼はいました!人気の大きなノコギリクワガタ、樹液をおいしそうに舐めています。そしてあれれ、なんとメスの姿も。これまで単体でしか見つけられませんでしたが、似合いのカップルですね。ニコタマ界隈でこんな彼らの自然な姿が見られるなんて、ちょっと感動してしまいました。
 
大都会トーキョー、現在21世紀。23区でも健気に生き延び、世代を繋いできた彼ら。たくましく生きるその姿を、しかと目に焼き付けてきましたよ。