
1か月半におよんだ、"ニコタマのなつやすみ"。東京にきて7年目、これまで一度も出会ったことのないカブトムシ・クワガタムシでしたが、23区内の世田谷でも意外なほどたくさん出会うことができました。ですが、数ふれあううちに気付いたことがひとつあるんです。
サイズです。彼らのサイズが、小さいんです。特に、カブトムシ。10年以上まともに触っていなくても、こども時代毎日のように触れ合ってきたんだから忘れるはずがない。地元の栃木と比べると、二子玉川のカブトムシらは明らかに一回りは小さいんです。
なんだろう、環境のせいなのか?成虫の大きさは、幼虫時代の栄養状態で決まります。質のよい食料があればそれだけ大きくなれるし、その逆も然り。親からの遺伝もありますが、大きなカギを握るのが、幼虫時代の栄養状態なんです。どうなんだろう、世田谷は。深い森もあるし落ち葉もいっぱいあったから、少なくとも幼虫にとっては悪くない環境に見えるけどなあ。それともまた別の要因があるのかなあ。
そこで思いついたのが、捕食者の存在です。自然が多いとはいえ世田谷も東京、田舎に比べると圧倒的にカラスが多い。奴らに食べられてしまうものも相当数いるようで、生息地付近ではしょっちゅう、バラバラになった彼らの姿をみかけます。
この小型化はもしかして、世田谷ならではの都会型適応なんじゃないか?卵(体)を小さくするぶん産卵数を増やして、生き残る個体を増やそうとする生存戦略なんじゃないか?体が小さければ目立たなくなるし、機動性も高くなる。それだけ、生き残る機会も増えることになる。食料も少なくてすむから、餌場の少ない都会型の環境には好都合。世田谷の都会化に伴い、世代を重ねるうちに、現在のちっちゃめニコタマカブトになったんじゃないか?どうです、年配の方。昔のカブトムシって、もっと大きかったんじゃないですか?
あくまで、想像の域を出ません。けれど、こう並べると十分ありえそうな話ですよね。進化って数千~数万年単位で起こるものですが、環境が激変した場合はまた別。事実、ロンドンのナントカっていう蛾は、産業革命後の工業化に伴い、進化としては極めて短期間の数10年で体色が変化したそうですよ。地域ごとに違いを調べていくと、思わぬ発見があるかもしれません。なにかおもしろい仮説が思いつく方、ぜひぜひ教えてください。