下北沢はやはり演劇、芝居のまちだと思うのだが、
僕も一度、お芝居のワークショップに通ったことがある。

下北沢に引っ越して間もないころ、
南口の「餃子の王将」に置いてあった、チラシに目がいった。

「ゴールデンウィークは芝居してすごそう!」(劇団オッホ)
というビラでワークショップのお誘いだった。

芝居体験のない自分が入れるものかも分からなかったが、
何しろ、GWの予定が全くなかったことと、一度芝居をしてみたかったので、
かるい気持ちで応募してみた。

そのワークショップは次回公演のオーディションも兼ねていて、
たしか何割か落ちたと聞いたのだが、何故か自分は合格した。

総勢80人くらいいたが、かなり本気の人たちが99%で、
まったく芝居経験がなくヒヤカシの人間は、自分ひとり。
最初はゲネプロの意味さえ分からなくて、心細かった記憶がある。

西新宿の芸能花伝舎という施設を使っての朝から晩までの5日間は
非常に濃い内容で、自分にとてもプラスになった。



そのときに覚えたというか、感じたことがある。

それは「場の雰囲気」は、出演者全員が作り出すグルーヴであり、
役者にはそのグルーブを感じ取るリズム感が必要だということ。
映える演技は、むしろ雑魚キャラ(しゃべっていない人)に要求されること。

そのときも、オーディションを兼ねているのもあって、
かなりの人が「俺が!俺が!」キャラの人間が多かった。
そういう人たちがかち合うととても、演技は見苦しい。

反面、相手の間合いにスーッと入っていけて、その中で
会話のテンポにうまくノリながら、自分を出せる役者は
本当に素敵だった。

ある意味、バンドと芝居は同じだなあーと感じたのだった。
「ひいた演技ができる」=「ひいた演奏ができる」と近くて
全員ソロ弾きたがりのようなバンドは絶対しんどい。

自分は、結局、そのワークショップの最後の発表会で
「ホモの美容師役」というかなり重要なキャラを演じた。
うまくできたのだろうか。そのオーディションには落ちたが、
その後、そこで知り合った友人達から、客演の誘いがかかったりした。
結局、客演はできなかったのだけど。

そのワークショップの参加をきっかけに、友人からチケット買ってと
せがまれて、かなりアングラ小劇団の芝居を観にいった。




さて、前置きが長くなりましたが、
以前に書いた、「パジャマと毒薬」(劇団カリフォルニアバカンス)
のレポートを書け~!っとふーせんさんから、叱られているので、書こうと思う。

総じて、まず、面白かった。

出演者全員のチームワークがうまく働いていたし、
入り口のスタッフの心遣いとかも良かった。

でも、すこし脚本が甘いなあーと感じた。
シュールな笑いをとろうとするあまりに、ストーリーが
予想外の展開にどんどん転ぶ。それはそれで面白いけど演技力がついていけない。
三谷幸喜や、大人計画みたいな毒のあるコメディがやりたいのだろうけど、
演技力のある人とない人が混在する小劇団では、もっとうまく練らないと
「瞬間瞬間の意外性」が冗長になってしまうと思う。


でもね、とてもココロ温まる劇団だと思ったのですよ。

そもそも、小劇団を見に行くときは、そういう見方でいくのはだめなのです。
もともと、値段も安いし、クオリティも低いのが当然だから。

何しろ、劇団員全員がお客さんを楽しませたいという気持ちが
もーーーーーーーんのすごい伝わってくるわけですよ。

衣装や、セットひとつひとつへの細やかな手作り感。

決してかっこ良くなくて、高校生の時に面白いことが言えたタイプ
でもないような人たちが、一生懸命演じてるんです。
みんなに笑ってもらおう、楽しんでもらおうと思って演じてるんです。

そのとっても泥臭いひたむきさに、僕はいつも感動して帰るのです。

小劇団の芝居には、そういう楽しさもあります。
で、単純に作品としてめちゃ面白い芝居に出会えたりもします。

だから、いつも行ってしまうのです。ビバ!芝居!

さあ皆のもの、下北沢で芝居を観ましょうぞ!!