仕事で名古屋へ出張。

それも金曜日の午後。

実家に泊れば宿泊費タダだから飲んでくか。

名古屋の夜といったら、行きたい所は一つ。

父親と一緒に飲めば・・・。

・・・。

・・・。

「おとーさんにね、ぜひぜひ紹介したい小料理屋があるんだ。一緒に夕飯食べに行かない?」


なんて下心満載な娘なんでしょう。。。うぅ。


いや。
でも自分も本当に父親には、このお店を知ってもらいたかったのだ。

メニューはなく、全てお任せ。(予算にも応じてくれる)
美味しい純米酒があって、魚介類を中心とした料理もすばらしい。
日本の器や芸術にも詳しい、気さくで楽しい店主。
隠れ家のような、自分だけの別荘のような、秘密にしておきたいお店。


そんなお店を、父親に教えてあげたかったのだ。

とはいえ、根っからの名古屋人でもある父親。
「まき子に名古屋のお店を教えられるとはなぁ・・・」と、照れくさそ。

行ってみれば、分かるって!


サッポロ小瓶ビールで喉を潤した後は、神亀 手造り純米 にごり 。

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お父さん、こういうお酒って、なかなか飲む機会ないんじゃない?といいつつ開栓。
でもアレ?なんか酵母くんが元気ない。しゅわ~~~っと立ってくるかと思ったのに。

・・・っていうか、なんか瓶口にカビ生えてまっす(笑)。

表示された日付を見ると 2001.1 ?!
ひょえ~~。
瓶詰めでこの年だから、本当に造られた年は、何年前か分かったもんじゃない。

カビが生えた瓶だろうが何だろうが、うれしい~~!
まっとうな日本酒なんだから、それだけ保存されてても、別に腹こわすものじゃないんだもの。
しげちゃん、こんな貴重なお酒を、ありがとう~♪


料理は 湯葉 からスタート。

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この湯葉の上に乗っているもの・・・自家製柚子胡椒とかかなぁ、と思ったら、
なんと 蟹味噌!!

ほんのり柚子胡椒の味もしているけど、こりゃーうまい。
この一品目から、飲兵衛の父親の心を掴んでしまった。


父親は神亀に「これアルコール度数高いんじゃない?17度?!」と驚きつつも、結構早いペース。
「最近、お父さん、ペース早いくていかんのだわ~。」とかゆってるけど、
相手は私だから、のーぷろぶれん。


お刺身は、地で獲れた イワシ 。

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裁く前のを見せてもらうと、ぷっくりぷりぷり。
これを手で裁くというからスゴイ。
脂のノリも良くて、本当に旨い!


そしてお椀は 河豚のアラ 

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河豚はもちろん、焼かれた葱もとってもホクホクしてる。


次のお酒は何にしようかな~と思っていると、
「奈良に行って来たお土産。」と 銀扇 千代 というお酒を出してくれた。

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何でも久保本家のK森谷さんと一緒に高鴨神社の新嘗祭に行ってきた際の日本酒なんだとか。
純米じゃないんだけどね~、ご利益がありますように、と。

後々調べてみると・・・「かもす」という言葉に、とっても惹かれる自分。

加茂(鴨)社の元宮。

弥生中期から祭祀を行う日本最古の神社の一つ。

「カモ」は「カミ」と同源であり「カモす」という言葉から派生し 

「気」が放出しているさまを表している。


良いですね~。
「醸された」日本酒を飲んで、ご利益がありますように・・・。


さて。

次に 神亀 純米酒 を頂きつつ、 河豚皮ポン酢 。

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こういうツマミ、いいねぇ~、と父親も嬉しそう。

ちなみに、次の一合、同じ神亀純米酒を徳利に入れたのは見えたのだけど、
飲んでみると、なんかちょっと古酒っぽい奥深さが増した。

「??」と思ったら、ひこ孫 大古酒 時のながれ を少しいれて、
70℃くらいにあげたものを急冷させたんだとか。
K森谷さん直伝技ですね♪


お料理は、この日一番のメイン料理がいよいよ登場!

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鳥取は境港(北海道ではありませんでした(汗))の 松葉蟹 。
(見たら痒くなっちゃう師匠・・・ごめんなさい)

2人だから、と半身で出してくれたけど、それでもボリューム満点!
ハサミの部分に足、身の部分には当然 蟹味噌 があしらわれている。

「これで、ちょびちょびやっとると、え~でしょ~。」と、しげちゃん。
この蟹を獲ってきた漁船の札も見せてくれる。


つまみも美味しいから、日本酒を飲むペースもぐいぐい上がる。
次をお願いすると 真穂人 だ。

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イイっすね~、段々熟成されたものへ。
最近になって、熟成酒を覚え始めた父親にも、好印象。

さたに ひこ孫 ももらって、最後には 小鳥のさえずり に到着。

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しかも、さっきの “大古酒 時のながれ” を、出してくれて
「これ、残り少ないから、全部飲んじゃって。
 またさっきみたいに、コレ(小鳥のさえずり)のお猪口に少しずつ入れて楽しみやー。」とな!

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ちょびっと垂らすだけで、ホントに味わいが深くなるから嬉しい。


そして出ました!
最近個人的にツボにハマっている 昆布森の牡蠣 。

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フライだけど、中はちょびっとレアで、これまたプクプク。

「縦にぶら下がってる牡蠣は、びらびらが大きくて平べったくなってるけど、
 厚岸や昆布森の牡蠣がこんなにぷっくりしているのは、横に寝かせているから。」

というのは本当のことのようです。


父親とは、また魚釣りの話、ゴルフの話、紀伊半島旅行の話、いろいろ。
珍しく軽快に喋る父親は、料理も日本酒も美味しくて、とーっても気分が良さそうだ。


飲ませすぎかな~、と思って
「しげちゃん、私たち、ペース早くないっすか?飲みすぎ?」と聞いたら、
父親と2人揃って「そんなことないがね~~~。」とな。
そりゃ良かった(笑)。

どうやら、お店をとっても気に入ってくれたらしく、「また来たい」を連発。
こういうお店に行くようになって、また日本酒もこういうのを覚えてくれると嬉しい限り。


「神亀。 この日本酒、覚えて帰ってね。酔っ払って忘れちゃダメだよ。」

という娘は生意気でしょうか。