ギャラリーの前を通りかかったとき、見覚えのあるイラストレーションが目に入りました。
そう、麻布十番のイラストと言えばこの人です。
宇野亜喜良(うの あきら)さん。
麻布十番納涼祭りで配られるうちわの絵、あの独特で、ちょっとシュールで、不思議な雰囲気を持つ人物画の作者といえば、きっと分かってくださる方は多いはず。

その宇野さんの作品の中で、寺山修司さんと関連のある作品だけを集めたと言う今回の展示。
『寺山修司巡り 寺山修司没後25周年 宇野亜喜良展』
ギャラリーに足を踏み入れると、しばし時を忘れ、なんとも不思議な作品に見入ってしまいました。

ギャラリーの奥には、寺山修司さんの文章に宇野亜喜良さんが挿絵を描いた『ひとりぼっちのあなたに』、『さよならの城』、寺山修司没後二十年に宇野亜喜良さんが描き下ろしたという『踊りたいけど踊れない』などが並んでいます。

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手にとって読んでみると、寺山さんの作品に宇野さんの絵がすばらしくマッチしているのが分かります。

「宇野亜喜良(うの あきら) 1974年生」と書かれた著者紹介を見たとき、こんな鮮烈な世界を74歳のおじいちゃん(失礼)が描いているなんて...と驚いてしまいました。
寺山修司さんも1975年生まれと宇野さんとは1歳違い。若き日のお2人がどんなことを語り合い、これらの作品を生み出したのか...とても興味深いと思うのはきっと私だけではないはずです。

また、2人で共同制作されたのは本だけではありません。
宇野さんは、寺山さんの舞台の舞台美術、芸術監督等も務められているのです。
寺山さんの作品の世界にインスパイアされ宇野さんがポスターを描き、宇野さんの作品にインスパイアされ寺山さんの作品に新たな場面が生まれる。
ギャラリーの入り口に飾られた宣伝用ポスターには、ヌードの女性が自分の母乳を紅茶に垂らし、ミルクティを入れる絵が描かれていました。
料金は大人600円、学生500円。1960年代こんな衝撃的なポスターが東京の街を彩っていたのです。このポスターたちは当時の人の目に、どんなふうに映ったのでしょう。

「今日はまだお見えになっていませんが、宇野さんは、この会場にもよく足を運んでくださるんですよ」
ギャラリーの方のお話では、宇野さんはこの近所に住んでいて、麻布十番の商店街をよく歩いていらっしゃるとか。

穏年74歳の宇野さんにもしかしたらお会いできるかしら...期間中、ちょっと期待しながらギャラリーを覗いてしまいそうです。

2008年5月7日(水)~5月19日(月)
12:00~19:00(最終日のみ16:00終了)
ギャラリー東京映像
東京都港区麻布十番1-8-13
03-5545-7659