今日は私の母親の誕生日。

抹茶の好きな母は毎年抹茶のケーキをリクエストする。
ゆりの花が好きな母である。

そんなことを考えながら歩いていたら、
今年の春、母と二人で喜多見にきた時のことを思い出した。


喜多見にきて初めて食べたものは忘れもしない。
おそばだった。

「志美津や」というおそばやさん。

どうやらなかなか有名なお店のようで、閑静な住宅街の中でもしっかりと営業している。

十割そばが名物で、ちゃんとした十割そばを食べたことがなかった私はもちろん名物を食べた。


その味はなんと、私の「おそば観」を大きく変えてくれた。

どのくらい変わったかというと、東京の名物は「おそば」なのではと本気で思っているくらい。

今まで食べたことのないおそばの味がした。
十割そばってすごくぼそぼそになりそうなものだが、麺がしっかりしていておいしかった。


それ以上に感動したのは、となりのおじさんの見事なすすっりっぷりだった。

ズーというよりゴーだ。

考えてみると確かに「ズー」の口より「ゴー」の口の方が大きく開いているから
そばがたくさん食べれる。


きっとおじさんはものすごい勢いでそばを食べているはず。

なるほど、きっと東京の人はみんなこのくらい豪快にそばを食べるんだ。

きっとおじさんは「これが江戸っ子」と思っているに違いない。


私は「これが江戸っ子」だと思った。

初日に見つけた「江戸っ子」。


喜多見のおじさんは本当に「江戸っ子」だ。