ええ、文久3年と聞いております- 

いやはや、恐れいった。
世界に誇る"GINZA"、都心の一等地に銭湯が現存するというだけでも驚きだというのに、
金春湯(こんぱるゆ)の創業たるや、江戸時代にまでさかのぼるとは。
江戸に銭湯が登場したのが、およそ400年前。
町人文化として隆盛を極めるも、西欧列強の基準に合わせるべく行われた明治の統廃合。
そして大正の大震災、昭和の大戦、平成の受難の時代。
数々の逆境を乗り越え、脈々と受け継がれてきた奇跡。
 
銭湯にしては、ちょっと早めの午後2時。
「この時間が一番熱いから」との開店待ちは、近所の料亭の職人さんたちだ。
こざっぱりした坊主頭にがははの粋な江戸っ子、仕込み前のひとっ風呂は欠かせない。
筋骨隆々の彼ら、しかもそれが次々とやってくるものだから、
よそ者の自分は思わず桶を隅に寄せてしまう。
だが、ここが銀座であることを思わず忘れてしまう静けさといったら。
桶の音だけがこだまする室内、頭上には大正時代の大きな神棚が我々入浴客を見下ろし、
銀座8丁目の片隅には今日も、凛とした空気が張り詰める。
 
場所柄背広姿も多く、遅い時間帯になれば女湯側には今でも、
夜の女性たちが訪れるのだとか。
気分さっぱり表へ出れば、冬の陽はもう西に傾いて。
向かいの今春通りはそろそろ、艶やかな着物姿が繰り出してくる。  20091231_chuoku_ginza_konparuyu_01.JPG   20091231_chuoku_ginza_konparuyu_02.JPG   20091231_chuoku_ginza_konparuyu_03.JPG   20091231_chuoku_ginza_konparuyu_04.JPG   20091231_chuoku_ginza_konparuyu_05.JPG  
 
 
 ○ 金春湯 
 住所 東京都中央区銀座8-7-5
 電話 03-3571-5469
 営業時間 14:00~23:00(土曜は~22:30)
 定休日 日曜、祝日