豊島区西部の、とある銭湯を訪れたときのことだ。
ふだんの生活ではまず訪れることのない一帯のはずだが、
帰りの駅への商店街はどこか見覚えがあった。
思い出した、今春に廃業した南長崎の常盤湯だ。
東京銭湯らしからぬ希有な丸型湯気抜き天井、青々とした早川絵師の富士。
そして営業最終日まで途絶えることのなかったおかみさんの笑顔、
決して忘れることはない。
 
常盤湯がその後どうなったか気になったので、ひとつ見ていくことにする。
覚えのある道に地図を見ずとも足は進んだが、
家々の屋根から飛び出ていた目印の煙突は、いつになっても見当たらない。
確か、このあたりではなかったか?
見当をつけて路地へ入り込むと、突然視界が開けた。
事情は、すぐに悟った。
そして先ほどの銭湯がやけに混んでいた理由も、これで納得がいった。
 
 
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※ 第六拾六番札所 ~ 常盤湯 ~ 豊島区・南長崎