昨年の初夏、ちょうど天王祭のころに廃業した荒川二丁目の富士見湯。
味の出た板張りの外観、そして妙にレトロな和洋折衷の店内、と
歴史ある銭湯の多い東京下町荒川区においても、
富士見湯は一際異彩を放つ存在だった。
2009年夏の終わり、1年数か月ぶりに富士見湯を訪れる。
これまた噂どおり、跡地は小奇麗な真新しい住宅となっていた。
あまりの変わりぶりのためどこに富士見湯があったのかはじめ全く分からなかったが、
ふいに飛び込んできた、古びたトタンの鳥居?
思い出した、この小道が富士見湯の側面だ。
敷地ごとまるまる入れ替わったかのような富士見湯だが、
ほんの一部分のみ、当時の造りが残っていた。
跡地を眺めていると、真新しい住宅からお年寄りの女性が戸を開けて出てくる。
だがその姿に一瞬振り向くも、あの日玄関まで見送ってくれた、
富士見湯のお婆さんではないようだ。
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン?
向こうのほうから、荒川線の音が届いてくる。
もう2度と訪れることもない跡地、おもむろにカメラを腰のポーチへと仕舞いこむ。


※ 第廿伍番札所 ~ 富士見湯 ~ 荒川区・荒川二丁目
味の出た板張りの外観、そして妙にレトロな和洋折衷の店内、と
歴史ある銭湯の多い東京下町荒川区においても、
富士見湯は一際異彩を放つ存在だった。
2009年夏の終わり、1年数か月ぶりに富士見湯を訪れる。
これまた噂どおり、跡地は小奇麗な真新しい住宅となっていた。
あまりの変わりぶりのためどこに富士見湯があったのかはじめ全く分からなかったが、
ふいに飛び込んできた、古びたトタンの鳥居?
思い出した、この小道が富士見湯の側面だ。
敷地ごとまるまる入れ替わったかのような富士見湯だが、
ほんの一部分のみ、当時の造りが残っていた。
跡地を眺めていると、真新しい住宅からお年寄りの女性が戸を開けて出てくる。
だがその姿に一瞬振り向くも、あの日玄関まで見送ってくれた、
富士見湯のお婆さんではないようだ。
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン?
向こうのほうから、荒川線の音が届いてくる。
もう2度と訪れることもない跡地、おもむろにカメラを腰のポーチへと仕舞いこむ。


※ 第廿伍番札所 ~ 富士見湯 ~ 荒川区・荒川二丁目