ひとたび建てられた建物は、それを取り巻く人々との関係性を通じ、機能性や有用性を越えた多様な意味を育んでいきます。しかし、いかなる建物も、時間が経てばその多くが解体される運命にあるのです ?
 
 
東京の文化的価値ある建造物を復元移築し、展示する江戸東京たてもの園。
2月も終わりとなった週末、特別展にて催されていたのが一木努氏の「建物のカケラ」だ。
役目を終え解体されゆく建造物、だがいかに学術的価値があろうとも
その全てを保存することなどできるはずもない。
ならばせめてその記憶だけでも、と氏が東奔西走して集めたのが"カケラ"というわけだ。
浅間山荘、軍艦島、蔵前国技館?
著名な建造物が名を連ねる中、とある古いタイルに目が留まった。
 
この凝った模様はやはり銭湯、その名を天徳湯。
しかも都心も都心、港区は六本木に存在したというではないか。
経た年月を隠せないくすみ、無情に剥ぎ取られたであろう隅の跡。
だが物言わぬカケラとなった今でさえ、その輝きは多くの人々を惹き付けてやまなかった。
 
 
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○ 天徳湯
 
※ 廃業、解体済み。タイルの回収は、昭和58年


江戸東京たてもの園HP
http://tatemonoen.jp/
特別展「建物のカケラ」は、2009年3月1日を以って終了