近ごろ、高校時代の友人とよく会うようになった。
栃木県は宇都宮市の外れ、田んぼのど真ん中にある県立男子校。
当時毎日のようにつるんでいた、テニス部仲間たちである。
 
 
彼らの多くが東京に勤めるようになってからというもの、
テニスにイベントに、しょっちゅう顔を合わせている。
将来のビジョンなど、全く定まってなかった高校時代。
それが憧れの大都会東京で再び相見えることになろうとは、
どの面子も想像すらしていなかったに違いない。
 
そんな自分らの中で慣例になりつつあるのは、遊んだ後のひとっ風呂。
わいわい石鹸を貸し借りしたり、風呂上りにテレビを眺めながらおしゃべりしたり。
いつも一人で回っていた自分には秘かな憧れだったので、
初めて行く銭湯の高揚感も、余計に膨れ上がろうというものだ。
 
 
        *        *        *  
 
 
初台でテニスの後に食事を済ませ、豊島区は要町駅近くの地蔵湯へ向かう。
"地蔵通り商店街"の中ほど、ちょっと奥まった敷地の灯りがそれだ。
そこらのアパートのような、近代的なビルの1階。
最低限の間取りゆえ極めてシンプルな造りだが、
壁のモザイクタイル絵というのは、行き慣れない彼らには新鮮であったようだ。
 
 
けれどこの日はまだ酒が残っていたのか疲れのせいか、実は中のことをよく覚えていない。
ただ、湯から上がるともう閉店時間ではあった。
お話し好きなご主人に誰もいなくなった女湯側を見せてもらったり、
洗濯物の吊り下がった裏の釜場に入らせてもらったり。
初めて上がる番台に、友人も上機嫌だ。
 
さっぱり顔で、灯りの消えた地蔵湯を後にする3人組。
そして要町の友人宅で、昔に戻り"桃鉄"に夜通し興じることとなる。
 
 
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○ 地蔵湯

住所 東京都豊島区千早1?17?8
電話 03-3957-5507
営業 16:00~24:00(日曜は15:00~)
定休日 月曜(祝日は営業)