久しぶりの取材仕事のため、朝、新宿行きの満員電車に揺られる。

すし詰めの満員電車は3年半ぶりだ。2年過ごした関西はここまでギュウギュウにならないし、関東に戻ってきてからは育児が中心の生活なので満員電車には乗らない。
久しぶりの外仕事はもとより「朝の満員電車に乗る」ことに緊張していたが、乗ってしまえばその感じを体が覚えていた。10年ほど乗っていた埼玉から東京への通勤電車。あるときは強引に人を押して入り、人の隙間をするすると抜けて自分の居場所を見つける。
新宿駅で降り、京王線に乗り換える。通勤とは逆方向の車両は先ほどまでの圧迫感がウソのように空いている。平日の朝、ひとり電車に座っていると、このまま旅に出たくなる。

仕事を終えて新宿に戻る。とりあえず東口に出て昼食をとろうと思い、何度か訪れたことのある「喫茶らんぶる」に入る。
地下が秘密基地のように広い。赤いベルベッドのソファと天井にはいくつものシャンデリア。そしてクラシックがかかるここは名曲喫茶だ。創業は1950年という老舗の喫茶店だが、お客は常連客のおじさんだけではなく、サラリーマン、打ち合わせの人、学生カップルなどさまざま。空間のレトロさと、新宿の街同様ざわざわして現実的な客層とがなんとなくミスマッチでおもしろい。
注文したのは「琥珀セット」。「らんぶる」とは「琥珀」の意味だそうだから、お店の看板メニューだろうか。

会計を済ませ1階に上がると、店内に流れる交響曲が最高潮を迎えた。シンバルの音が雷鳴のように聞こえてきた・・・と思ったら、外はゲリラ豪雨。雷鳴は本物の雷だった。名曲喫茶と天地の競演を背に、横なぐりの雨の街に出た。

ranburu_01
 
ranburu_02
 
ranburu_03
 
名曲・珈琲 新宿らんぶる
新宿区新宿3-31-3
03-3352-3361
9:30~23:00
無休