今回は暗闇のワークショップ、DIALOGUE IN THE DARKの紹介。
完全に光をシャットアウトした空間で、視覚障害者のアテンドに従って会場を移動し、
「視覚」以外の感性を研ぎ澄ます体験ができる。

私は2007年9月、旧赤坂小学校で開催された時に参加し、衝撃を受けた。
どんなに眼を凝らしても全く何も見えない暗闇。
眼をつぶっても、開けても同じ状況。
この時に、暗闇に濃度があることを初めて知った。

部屋に入った瞬間、暗闇がモッサリとのしかかってくる。
右も左もわからず、何がどこに、どうあるか全くわからず
前に進むのがとても怖かった。

慣れてくると、音の遠近や物の感触で
感覚がつかめてきて進む足取りも早くなった。

たった90分の暗闇体験だったが、
出口でほんの少しの光を見たら
突然、眼がグルグルに回りだし立っていられなかった。


このワークショップで、いかに視覚に頼って生活しているかを思い知った。
その視覚が通用しなくなると、他の感覚がフル活動し、視覚をカバーする。
私の場合は聴覚と触覚だった。

会場に入る前は一言も話さなかった他人と
会場を出る時にはクラスメイトみたいに仲良くなっていた。
暗闇で『ここに段差があるよー』『右だよー』など声を掛け合ううちに、
心の垣根が取り払われ、裸の心で向き合える不思議な体験をした。

社会的地位や年齢差、国籍も関係なく、
相手の発する声と、差し延べてくれる手の温度と感触で、どんな人かが見える面白さ。

先日ラジオを聴いていたら、2009年から青山に常設されているという。
またあの感覚を味わいに行ってみたい。

dialogue-naiya
※写真は2007年の旧赤坂小学校のものです。
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ダイアログ・イン・ザダーク(常設展)
住所:東京都渋谷区神宮前2丁目8-2
    レーサムビル B1
TEL:03-3479-9683

入場料:大人¥5,000(要予約)
http://www.dialoginthedark.com/index.html
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