日暮里の静かな住宅街に佇む古銭湯、雲翠泉(うんすいせん)。
外見こそ何の変哲もない古民家の面持ち、しかし一歩踏み入れればいっぱいに広がる昭和の懐かしさ。
木組みの番台、ゆったりと回る天井のプロペラ、ノスタルジックな蚊遣りの香り。
浴室へ入れば今ではとんと見かけなくなったタイル絵、舌切り雀、桃太郎、浦島太郎-
昔話を切り取ったそれは金沢の高級な伝統工芸品・九谷焼きだ。
初めて訪れたのは2008年、日暮里の地元民に連れられてのことだった。
自宅や職場からは決して近いとは言えないが、あまりの素晴らしさに感動してしまい、
以後訪ねた回数は数えきれない。
 
美麗なタイル絵に目を奪われるが雲翠泉一番の特徴は、浴室のど真ん中に鎮座する小判型の浴槽であろう。
東京では、壁に接して最奥部に配置される四角形の浴槽と相場が決まっているため、
初めて雲翠泉の浴槽を目にしたときは、その珍しさに目を丸くしたものだ。
由来は今となっては不明だが、この特異な構造から、
北野武氏監督・主演の映画「血と骨」の銭湯での一場面にて使用されている。
舞台設定は大阪、しかし撮影地は東京。
浴槽の位置・構造で違和感が生じないよう、雲翠泉が選ばれたものだと聞いた。
 
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○ 雲翠泉
住所  東京都荒川区東日暮里3-16-4