「ワタシってやっぱり東京が良いわ」と思って
男の視線を集める事にしか興味のない女性だけが歩いている表参道。

ボクはよくカフェで仕事をする。
この日は勝手に行きつけにしている
「AtoZcafe」で一人パソコンをバチバチ。

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けっこうオシャレなくせに、
ボクみたいな一人の客がコーヒー1杯で5~6時間いても許してくれる都会のオアシス。
いつもご好意に甘えて、もくもくと仕事させてもらっている。
その日も空き時間が3時間ほどあるので、
バチバチ、時折エンターキーを「ターン!!!タタン!」

そこに昼下がりのマダムが3人。
彼女たちはビールを注文。
「うらやましす!」と思いながら、ボクはパソコンの画面に目を戻す。
すると、視線の隅でおしぼりのビニールを開けるマダム。
鈴木砂羽(あっ好き。『昭和歌謡大全集』好き)
みたいな雰囲気を醸し出している人が手首から肘の間までをおしぼりで拭きだした。
というか、「ここの名前って何て言うの?」
調べたら「前腕(ぜんわん)」だった。
「昨日、前腕がすごいつっちゃって~」なんて言われてもゼッタイ分からない。
そんな事より、まさかの”トキョめき”の瞬間である。

若い女の子ならゼッタイ拭かないであろう
”前腕”を丁寧に拭くマダムというか、今風に言うなら絶世の熟女。
なんでだろう?
なんだか分からないけど、ドキッとする。
やっぱり”前腕”を拭くというその所作に奥ゆかしさがあるのだろうか?
それとも、その丁寧な拭き方がそう思わせたのだろうか?

でも、ボクはそれ以上、彼女を見る事ができなかった。
仕事は遅れられないし、
行きつけの店を失うのが怖かったから。



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