うちのばあさんが、「かつ」なんです-
 
意外だった。私はてっきり、”葛飾区”の”かつ”だと思っていたからだ。
風呂屋の屋号には年号、地元の地名、当時流行っていたものの名、様々な場合がある。
そして創業者の名というのも、よく見られる屋号だ。
縁起を何よりも大事にする、客商売。おそらく、語呂のいい”勝つ”にも通じるものがあるのだろう。
2重の千鳥破風と東京の王道を行く伝統型の一軒、由来のひとつひとつに重みを感じる。
 
そして最奥部には、都区東部に多い早川絵師の富士。
かつの湯を訪ねたのは氏が亡くなって間もなく、彼の青い青い富士を追って
東京東部の区を重点的に回っていたころで、名前の由来とともによく記憶していた一軒だ。

氏の逝去から、すでに2年が経つ。
劣化が進行し、次々に別の絵師に描きかえられつつある早川氏の作品だが、
かつの湯の廃業とともに、また貴重な伝統文化が姿を消した。
 

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○ かつの湯
住所 東京都葛飾区新小岩4-7-20
※ 2010年廃業