昨年の夏、とある週末の暑い暑い午後であった。
実家の宇都宮へ向かうべく、乗っていたのは伊勢崎線。
北千住から埼玉の春日部・久喜を経由し、群馬の伊勢崎市へと向かう東武線の列車だ。
いつもなら、湘南新宿ライン。渋谷から2時間も要しない快速列車、
しかしいつも同じ順路というのもおもしろくない。
聞けば東武線沿いには、宿場町の古銭湯もあるというではないか。
たまには途中下車の余裕を楽しむべく、実家の母へ到着時刻変更の知らせを入れる。
 
ふと気付くと、いつの間にかあたりには浴衣姿ー
そうか、もうその時期か。沿線のどこかで、花火大会でもあるのだろう。
気にせず下車した東武動物公園、続いてどっと出てくる乗客。
駅前の商店街にはずらりの屋台に提灯、おしゃべりに興じる色とりどりの少女たち。
どうやら、今日がこの町のお祭りらしい。
予想外の展開も、面白いもの。彼らに混じり、杉戸町の夏祭りを楽しんでいくことにする。

地方の祭りとはいえ、神輿の活気は東京者に負けちゃあいない。
むしろ、ちょいと荒々しい地方の若者のほうが威勢がよいのではないだろうか。
埼玉のひとつ上の栃木県、もう10年行けてない地元の”宮祭り”を思わず重ねてしまう。
時間とともににますます賑わいを見せる大通り、気付けば時計の針は9時に迫っていた。
実家の宇都宮へは1時間半、下りの終電は早い。
数台の神輿を見送ったあと暖簾を潜り、私は巴湯の戸に手をかけた。

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○ 巴湯
住所 埼玉県北葛飾郡杉戸町杉戸3丁目3-6