1934年(昭和9年)竣工の九段会館

言わずと知れた九段会館は、結婚式やホテル、レストランに宴会、会議場を持つ複合商業施設。夏期の屋上のビアガーデンはとても有名で、ビール好きのメッカ。

この九段会館の昭和9年建設当時は軍人会館と言う名前で呼ばれていて、予備役等の訓練や宿泊のための軍の施設でした。

昭和11年2月26日未明の雪が舞い散る帝都東京の各所で、総理大臣を始め大蔵大臣など閣僚多数を陸軍青年将校らが襲撃するというクーデターが起きる。永田町や霞ヶ関、赤坂など政治の中枢は叛乱将校によって占拠されてしまう。昭和天皇の勅命により、事件を主導した将校は朝敵と見なされ、やがて投降し、部隊は原隊に復帰してクーデターは失敗に終わる。いわゆる、この2.26事件を収束するために、戒厳司令部の敷かれた場所が、霞ヶ関から皇居を挟んで対峙する、九段下の旧軍人会館、現九段会館。

九段会館の様な、モダンな建築の上に伝統的な瓦屋根という、些かアンバランスな帝冠建築と呼ばれる様式は、神奈川や愛知の県庁舎、名古屋市庁舎など2.26事件が起きた昭和初期に大変持てはやされました。

威厳があると同時に、どこか憂いのある建築。上下で分裂したアンビバレントな様式が、時代の空気をそのまま写しているかのようで、ずっと九段下でその姿を後世に伝えて欲しいです。

そんな九段会館のまだ未踏のビアガーデンにこの夏は必ず行く予定です。