何も変わらない日々だった十代。

二十代、それも後半になって、
時間の移ろいがますます早く、
その早さが疎ましく感じられるものになった。

慌ててカメラを構えるようになった。
日々変わりゆく景色を写し止めている。
気がつくと同潤会もそんな景色のうちの一つだった。

uenoshita001.jpg同潤会アパートは1920年代半ばから1930年代半ばに掛けて都内十カ所以上に建てられたモダンなアパートメント。

青山、代官山等の山の手と上野、日暮里、三ノ輪等の下町に作られた。

有名な青山アパートは三年前に取り壊され、跡地は表参道ヒルズになった。

今も残る同潤会、1929年(昭和4年)に竣工、上野下アパートは、下町風情の残る、上野駅から昭和通りを超えて浅草通りを数ブロック歩いた左手の路地裏に残る。


2001年、大学三年生の晩夏。
台風の翌日、強い風の影響のためか、
人混みが消えた表参道の青山同潤会アパートの前で、
フルート奏者の女性を撮影した、

その写真はとても気に入っていて
新しい作品が出来る都度入れ替える、
持ち歩きのアルバムに未だ入っている。

表参道の目抜通り、つたの絡まった風情あるアパートは、
まるで空気のように当たり前にそこにあると思っていた。

uenoshita002.jpg築77年の立派な鉄筋アパート。

現在の高層住宅の原型そのもので、通りに面した一階部分には床屋や商店等のテナントが入っている。現在の住宅事情を考えてみても、如何に先進的だったかがわかる。

僕の住む北区周辺には戦後に建てられた、同潤会の全くのコピーの様な古い団地群が目につき、戦後の景色のルーツの様な存在であったかが伺える


次はもう一つの同潤会、三ノ輪アパートをご紹介。