それいゆ―イラストレーターの中原淳一が創刊した雑誌「ジュニアそれいゆ」や、私が喫茶店中毒になるきっかけになった作家・嶽本野ばらのエッセイ「それいぬ」を連想させる。

そんな「それいゆ」という名前の喫茶店が西荻窪駅の近くにある。
まさに昔ながらの喫茶店、という佇まいで、西荻窪を訪れるたびに気になっていた。中原淳一や嶽本野ばらに共通するのは「乙女」。この喫茶店も乙女ワールドなのだろうか。

期待を膨らませながら店内へ。紅の花柄のフロアマットに観葉植物、ケーキのショーケースの後ろの棚にはたくさんの洋人形、本棚には乙女漫画。期待を裏切らない、乙女チックな店内。
お客さんは見事におばさまのみ。だけどフロアを行き来する店員さんは若い男子。このバランスがなんだか西荻っぽいと勝手に思ってしまう。

10月半ばだというのに、暑い日だったのでアイスコーヒーを注文した。飲んでみると、香ばしくて美味しく、なんだか懐かしさを覚える。
メニューをよく見なかったが、アイスコーヒーはお店の売りの水出しコーヒーだったらしい。私はコーヒーの味自体にあまり頓着しないのだけど、丁寧に淹れられたコーヒーはそんな鈍感な人をも美味しいと思わせるみたいだ。

昔ながらの喫茶店で飲むコーヒーの味に「懐かしさ」を覚えること。
これも、長い時を刻んできたお店だからこそ味わえる、至福の経験かもしれない。   

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それいゆ
杉並区西荻南3-15-7
03-3332-3005
10:00~23:00
無休