「珈琲時間」。 久しぶりに漫画を読もうと思い、書店の漫画コーナーを物色していたら、魅力的なタイトルの一冊と出会った。

 「コーヒー」をキーワードにして様々な人間模様を描いた短編集。思わず、映画 「コーヒー&シガレッツ」を思い出してしまう。都会の喫茶店から、自宅、大自然、架空の世界。彼らが喫茶をする場所や状況は様々だ。

チェロ弾きの女性と高名な映画監督の喫茶店での不思議な出会いを描く「Whatever I What」、少年が好きな人を探すのに探偵を雇う「カプチーノ・キッド」、お互いに銃を突きつけながら最期のコーヒーを飲む「Hate to See You Go」などが個人的にはおもしろかった。
世界の終わりの話もあった。「元の世界」に戻りたいかどうか、博士が「私」に尋ねてこう言う。

「どうするかは自分で決めるんだね。もしここに留まるんなら、毎日おいしいコーヒーを淹れてあげるよ」

これ、私にとってはかなりヤバイくどき文句である。

コーヒーにまつわる物語は、コーヒーの香りの様に香ばしい雰囲気があって好きだ。

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珈琲時間
2009年・講談社(アフタヌーンKC)
著:豊田徹也