那覇市内に、気になるカフェがあった。

屋台カフェで、雑誌にもちょこちょこ載っているお店だけど、お店がしっかり写っている写真もないし、場所も営業時間も分からなかった。でも探してみることにした。

アパートを出る直前にメモした電話番号から携帯のGPS で探すつもりだったが、電話番号は090・・・携帯電話の番号だった。沖縄の市外局番は09だから、すっかり固定電話だと思っていたのだ。
勇気を出してその携帯番号に電話をしてみる。1コールで女の人が出た。女の人は「ひばり屋です」と言った。 今日は営業しているという。私の居場所を伝えると、かなり近くだった。「メガネのおじいさんがいるところを曲がってください」と言われ、猫の道みたいな小さな路地を進んでいくと、「ひばり屋」と書かれた水筒が掲げてある小さな空き地が見つかった。

空き地の奥にはリアカーの小さな屋台があって、電話の声の女性店主が、満面の笑みで私たちを迎え入れてくれた。暑い日だったが、ここは静かで涼しい風が吹いている。秘密基地みたい。子どもの頃にこんなところを見つけたら、どんなに心躍るだろう。
木陰の席に座る。蚊がいるからと、店主が小さな蚊取り線香を持ってきてくれる。 私はカフェラテを、相方はラズベリー入りの「初恋カプチーノ」を注文した。初恋カプチーノをちょっともらう。思ったより全然甘くない。酸っぱさとほろ苦さ、甘さはちょっとだけ。そう、初恋ってそういうものだった。甘くない、でも、一生忘れられない味。

店主は、小麦色の肌がよくお似合いの素敵な女性。しかし沖縄でお店をはじめたのは5年ほど前で、その前は千葉にお住まいだったという。沖縄でお店がやりたくて、沖縄に来た。雨が降ると営業できないので宅配も行っている。沖縄は意外と雨の日が多いのだそうだ。
常連らしいおじさんがやってきた。店主は注文を取らずにコーヒーを作りはじめた。 カフェラテももちろんおいしいが、珍しい味の「初恋カプチーノ」がすごくおいしい。なぜこれを作ったのか訊ねると、「コーヒーのある生活はとても潤いのあるものだから、それをコーヒーが苦手な人にも伝えたいと思って、飲みやすいものを作った」とのお答え。ご自身も以前はコーヒーが苦手だったのだそうだ。

コーヒーは、人と人とをつなぐ。今日のこの出会いも、そのひとつだと思う。私もそのつなぎ目のひとつになってみたい。沖縄の青い青い空の下で、とびきりのコーヒーを飲みながら、改めてそう思ったのだった。   

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珈琲屋台 ひばり屋
那覇市牧志1-2-12
11:30~19:00
不定休(雨の日は屋台営業は行っていません)
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