「丸善」といえば、梶井基次郎著「檸檬」の主人公が、堆く積み上げた洋書の上に「レモン爆弾」を置いてくるお店、という印象が強い。

現在の丸善も、粋な文房具が置いてあったり、洋書の品揃えが豊富だったり、相変わらず「ハイカラ」な書店だ。仕事の帰りに丸善日本橋店に行く。目の前は高島屋だ。ライトアップされた高島屋は、ギリシャの神殿のように堂々たる雰囲気。異国にいるような感覚を覚える。

各フロアを一通りまわって(書店によって本の分類の仕方が違って、それを確認しながらフロアを巡るのも好きだ)、3階にある「MARUZEN cafe」に行く。シンプルな内装だが、さすが本屋のカフェ、壁には画集の洋書がディスプレイされている。小ぶりだけと落ち着くソファ、少し高めのテーブル。

カフェオレが運ばれてくる。シュガーポットを開けると、グラニュー糖の上に星型の砂糖が何粒か入っていた。ちょっとにんまりしてしまう。「マジメ」な感じのする丸善で、こんなお茶目心に会えるなんて思わなかったから。
文庫本を読みながら、コーヒーカップを口に運び、ひとくち。そしてソーサーに戻し、文庫本をめくる。
この動作が、なんだかスムースなことに気づく。計算されてなのか、たまたまなのか、私の体型がフィットしたからなのかは分からないけど、ここのソファとテーブルは、ソファに深く腰掛けて本を読みながらコーヒーカップに手を伸ばすのに、ちょうどいい距離感になっているように思えた。

まさに本を読む為のカフェ、だと思った。ついつい、長居してしまいそうである。  

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MARUZEN cafe(丸善日本橋店内)
中央区日本橋2-3-10
03-6214-2001
9:30~20:30
http://www.maruzen.co.jp