秩父は不思議な町だ、と私は思っている。

同じ県内なのに(私は浦和に住んでいる)遠い。峠を越え、秩父街道を車で走ること
たっぷり3時間。ようやく姿を見せる、山に囲まれた秩父市街。
この町並みがとても「レトロ」なのだ。指定文化財になっている建物もちらほらあり、
町を歩いているだけでタイムスリップしたような感覚になる。でも、別に観光に活用し
ているわけでもなく、本当にただ、「昔のまま」在る、という町なのである。

そんな秩父の町の路地にある「ぢろばた」という喫茶店に入る。狭い店に、所狭しと
本や趣味の調度品が置かれている。本や小物の合間に、気まぐれに作られたような
席に座る。

「すみません」とマスターに声をかけると「今手が離せない」と、ちょっと怒られてしま
った。コーヒーを淹れている最中に、声をかけてはいけないみたいだった。
先客のコーヒーを一杯淹れ、テーブルに運び、豆についての説明をしてカウンター
に戻る。そしてまたコーヒーを一杯入れ、テーブルに運び、説明。それを何度か繰り
返したあと、マスターが私たちのテーブルにやってくる。

ブレンドコーヒーでも、酸味や苦味などを「こうしてほしい」というリクエストがあれば
応じてくれるという。とりあえず私たちは、スタンダードなブレンドコーヒーを選んだ。
ちなみに、コーヒーには相当のこだわりがあるらしい頑固な店主だが、その他の部
分には頓着がないらしく、食べ物は持ち込み自由である。

帰るとき、ディスプレイされた胸像に目をやると、その胸元には珈琲豆のネックレス
がかけられていた。マスターの豆に対する愛情なんだろうけど、ちょっとシュールだ。

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珈琲道 ぢろばた
埼玉県秩父市東町9-14
0494-24-3377
12:00~20:00
日祝13:00~20:00
木休