目白の「花想容」というカフェに行く。

民家の脇の細い道を通っていくと、瑞々しい木々と、上品な中庭が現われ、その奥に
大正時代に建てられたという立派な日本家屋が見えてくる。これがお店だ。
中庭を抜け、縁側から家の中に入っていく。広間に案内される。中庭に面した襖や窓
は取り払われているので、お茶をしながら庭を鑑賞できる。
奥の部屋では、着物の催しが行われているようで、生成りのカーテンの下から、ちらり
ちらりと着物の裾が見え、上品な笑い声が聞こえてくる。

ここの定番は和菓子と日本茶、のようだが、この純和風の佇まいに、あえてコーヒー
を注文することにした。運ばれてきたコーヒーは、酸味が強かった。酸味の強いコーヒ
ーは和菓子に合う。これは最近、実感したことだ。

しばらくして、お客さんがもうひとり来た。
「蒸しますねえ」と彼女。
「そうですねえ」と私。
「今小雨がふっているけれど、大丈夫よ、私、晴れ子だから」と彼女。
「私も晴れ子なんです」と私。
「それじゃあ、お店を出るころには、きっと晴れているわね」と笑顔の彼女。

縁側の風鈴が、ちりんと静かに鳴った。夏が終わる、と思った。

kasou01.jpg

kasou02.jpg

kasou03.jpg

kasou04.jpg

花想容
新宿区下落合2-19-21
03-3565-3265
11:30~18:30
火水祝休
http://kasoyo.com